第120回 平成20(2008)年4月6日公開
桜の花の咲く季節の出発
今年は2月までは比較的気温が低い日々でしたが、その後、春のけはいが濃くなり、3月の末には市立農業公園をはじめ市内の桜の花が満開となりました。秋には落葉していた桜は、花が咲くと同時に、街路樹や公園等市内各所で大きな存在感をあらわします。
4月1日から新年度が始まり、新入学、進級、就職という出発の季節を迎えています。三鷹市役所に採用された29人の職員には、新卒の人もいれば、一級建築士など他の職場での活躍を経て職員となった人もいます。新しい息吹あふれる活躍が期待されます。
平成20年度は、これまでの6つの最重点プロジェクトに、新たに「都市の更新・再生プロジェクト」を加えることを含めて3月末に確定した「第3次三鷹市基本計画(第2次改定)」を具体化する年度です。そして、「輝くまち三鷹を目指して未来への投資を」という施政方針に基づき、3月の市議会で可決され成立した予算をしっかりと実行することとなります。
桜の花は春の訪れを伝える華やぎとともに、心の安らぎを与える力を持っています。桜はいさぎよく散ることも評価されている花ですが、花吹雪の先には美しい新緑が萌え出て、心を潤してもくれます。
皆様も春の季節を感じるために、3月に三鷹駅南口に新たに開設した太宰治文学サロン、山本有三記念館、三鷹の森ジブリ美術館、大沢の里、牟礼の里、丸池の里など、市内のまちあるきにお出かけになりませんか。
第121回 平成20(2008)年4月20日公開
地図を生かして三鷹の魅力発見を
三鷹市では昨年度から三鷹駅南口駅前デッキや市役所前をはじめ、市内の各所に「三鷹の歴史・文化・自然」を紹介する案内板の設置を進めています。一部の案内板には、地図の他に写真も含めることによって、市民の皆様や来訪者の皆様に分かりやすいように工夫しました。
また、3月から、三鷹市のホームページで「三鷹市わがまちマップ」サービスを開始しました。これは、「文化施設」「都市公園・広場」といった種類別に施設を探したり、住所から施設を探したりするのに便利なように構成した地図情報の提供サービスです。
さらに、平成17年6月に策定した三鷹市の健康づくり目標「市民も地域も健康みたか2010」に基づき、各住民協議会の推薦による「ウオーキングコース」を含めた「健康マップみたか」も地域で活用され、歩くことから始める健康運動が盛んです。
3月1日にオープンした三鷹駅南口本町通りの「太宰治文学サロン」でも、太宰治ゆかりの場所を記した地図を配布しています。大変好評で、連日多くの方が来訪され、地図を生かして三鷹市内を散策されているようです。
今年の4月4日にNPO法人設立総会を開催した「みたか都市観光協会」は、三鷹駅前市政窓口のあるビルの1階に観光案内所を開設していますが、そこからも地図を生かした三鷹の魅力発見が深まることを願っています。
第122回 平成20(2008)年4月27日公開
「協働のまちづくり」と最適な「未来への投資」による「三鷹新時代」の創造を目指して
~第3次基本計画の第2次改定にあたって~
この度、三鷹市では「第3次基本計画(第2次改定)」を確定いたしました。今回の第3次基本計画の第2次改定にあたっては、計画の骨格案を紹介した広報特集号に貼付したはがきによるアンケートや、住区ごとのまちづくり懇談会でのご意見をはじめ、自治基本条例によって制度化されている「パブリックコメント制度」による意見聴取を行うとともに、市民会議・審議会でも検討をしていただきました。さらに、昨年10月20日と21日の2日間にわたり、無作為抽出で選ばせていただいた市民の皆様の参加による「基本計画改定に向けたまちづくりディスカッション」を実施しました。これは、計画策定における新しい市民参加方式として全国で初めて実施したものです。このように、多層的・多元的な市民参加の取り組みを行い、市民の皆様のご意見を反映するよう努めました。
私は、昨年4月の市長選挙で引き続き市民の皆様から信託をいただきましたが、その際にお示しした政策や、平成19年度の「施政方針」で掲げた「都市の再生」などの新たな課題に取り組むために、これまで「安全安心のまちづくりプロジェクト」をはじめとして6項目としていた最重点プロジェクトに、「都市の更新・再生プロジェクト」を追加して7項目としました。そして平成20年度の「施政方針」では、本年度を、「輝くまち三鷹」を目指して「未来への投資」を本格的にスタートする年度と位置づけました。市民の皆様が安全に安心して、いきいきと暮らせる「高環境・高福祉のまちづくり」を推進するために、公共施設の建て替え・改修、人財の育成等の「未来への投資」を最適に選択しつつ、本年度が実質的に初年度となる第2次改定計画を着実に推進していきたいと思います。
また、「第3次基本計画(第2次改定)」は、次の「第4次基本計画(仮称)」につながるという長期的・継続的視野に立って、政策・事業の枠組みづくりや、「都市の再生ビジョン」形成の取り組みを本格的に始める大切な時期でもあります。計画の目標年次である平成22年(2010年)は、「市制施行60周年」の年にあたります。私は、第3次基本計画の最終段階の取り組みとして、計画目標の達成に全力を尽くすとともに、市制施行60周年を迎える今だからこそ、改めて「みたか新時代」の創造に向けて、確かなまちづくりを進めていきたいと決意しています。
私は、4月30日から市長として「2期目の2年目」を迎えますが、心も新たに、誠心誠意、全力で市政運営に取り組み、着実な計画行政を推進していきたいと思います。この「第3次基本計画(第2次改定)」に示されている目標を共有して、市民の皆様と市とが共に役割と責任を担い合う協働のまちづくりを進め、最適な「未来への投資」を行うことにより、持続可能な(サステナブル)三鷹市政を進めていきたいと思います。
第123回 平成20(2008)年5月4日公開
ごみ問題は環境問題、財政問題、さらなる減量の推進を
4月5日(土曜日)の午前中、町会、住民協議会、武蔵野法人会をはじめ多くの市民ボランティアの皆様と市は協働で「玉川上水クリーン作戦」を実施しました。数年前には自転車等の不法投棄を含め大量のごみが収集されましたが、年々ごみの量は減少する傾向がみられます。
また、平成19年度の可燃ごみと不燃ごみの収集量は、人口が増加しているにも関わらず前年度に比較し、1千570トン、4・2%減量しました。そして、リサイクルされる総資源化量も含め、ごみの総量も減少しました。
減量の要因は、平成17年度以降回数を増やしてきた「ごみ減量キャンペーン」などの啓発活動強化の効果もあり、市民の皆様が分別の徹底はもちろん、買い控えを進め、マイバック利用とレジ袋削減やごみの排出抑制に関心を増大しているからだと思います。
ごみ処理には、収集や施設整備・管理に多額の経費がかかり、燃焼させる事で地球温暖化に悪影響を与える二酸化炭素を発生させます。現在準備中の調布市と共同の新ごみ処理施設は早くても25年度中の稼働開始であり、新川の既存施設の延命化は最優先課題です。したがって、ごみはまだまだ減量しなければなりません。
そこで、今年も4月22日から4日間、市内4カ所で毎朝7時半から、ごみ減量等推進員の市民ボランティアの皆様と「ごみ減量キャンペーン」を実施しました。今後も暮らしを見直してごみ減量に更なるご協力をお願いします。
第124回 平成20(2008)年5月18日公開
少子化時代を共に生きるために
5月5日は「こどもの日」、5月第2日曜日は「母の日」、6月第3日曜日の「父の日」ということで、この季節は子ども、子育て、家族について考え、共に感謝する機会があります。
私は、昨年の12月から厚生労働省社会保障審議会少子化対策特別部会に全国市長会推薦の委員として参加しています。この部会では、子どもたちの伸びやかな成長を促し、子育て世代が子育ての喜びを実感できるための施策を多角的、集中的に検討しています。
この会議で、私は三鷹市の実践に基づき、国の少子化対策・子育て支援対策の実践の現場は市町村にあること、その現場が充実するために国の少子化対策に向けた財源の拡充と、市町村や社会福祉法人、NPO法人等が、利用者の立場で最適な事業を実施できるような支援の拡充を求めて発言しています。
三鷹市では、「次世代育成支援行動計画2010」に基づいて、地域の子育て家庭支援、待機児童解消に向けた保育園の増設と保育の質の向上、母子保健、小児初期救急平日準夜間診療所等の医療支援を進めています。
さらに、今年の4月には、開設3年目のにしみたか学園に続いて、連雀学園、おおさわ学園、東三鷹学園の3つの小・中一貫教育校が開園し、コミュニティスクール型の運営に保護者や地域の皆様の積極的な参画を得て、家庭・学校・地域の教育力を高める実践を展開しています。
子どもたちの笑顔は、保護者だけでなく、社会に未来を実感させるまさに「輝きの泉」だと思います。
第125回 平成20(2008)年6月1日公開
キウイフルーツと協働
5月19日、東京むさし農業協同組合の須藤代表理事専務と三鷹地区果樹組合の皆様が来訪され、昨年収穫された三鷹産のキウイフルーツでつくられたワイン完成の報告をいただきました。
三鷹市でのキウイフルーツの栽培は、今から30年ほど前に、その風土と環境に適応する果物として開始されました。ニュージーランド等を特産とする外国の果物と思われていたキウイフルーツは、果樹組合の皆様のご努力によって三鷹市の特産品の一つに加わりました。
当初は、生食用を主としていましたが、旬以外にも楽しめるようにジャムなどの加工品に加えて、新たな製品の開発が模索されました。そして、同じころ小売酒販組合でも、三鷹市固有のお酒の開発を模索していました。
市内に酒造会社がないことから、小売酒販組合との協働により、ワイン作りの工場を市外で探すことで「三鷹ブランド」ともいうべき、このワインが誕生し、今年で22年目を迎えました。
最近では栽培技術の向上により高品質の生食用の人気が高まり、需要も増えました。生食用とワインの両立を図るため、ワインは限定8千本の製造です。販売は市内の約40軒の小売酒販店が担当しているのも、協働して開発してきたご縁ならではのことです。
果樹組合の皆様と市内の小売酒販組合との創意工夫で生まれたワインは、協働の一つの成果です。
(写真は右から島田果樹組合長、吉野キウイフルーツ協会部長、市長、東京むさし農業協同組合須藤代表理事専務、同小林三鷹地区統括支店長)
第126回 平成20(2008)年6月15日公開
太宰治が生きたまち三鷹
1909年、6月19日、太宰治は青森県北津軽郡金木村に生まれました。1939年、結婚直後の30歳の時に甲府から三鷹に転居し、家族と暮らしつつ「走れメロス」「人間失格」などを次々に発表しました。
そして、1948年6月に玉川上水に入水し、19日に遺体が発見され、禅林寺に埋葬されています。誕生の日と命日の「桜桃忌」が6月の同じ日である奇縁もあり、三鷹市が1999年に株式会社筑摩書房と協働して復活してちょうど10回目を数える「太宰治賞」の表彰式も、太宰作品の朗読会も毎年6月に開催しています。
太宰治没後60年にあたる今年の3月1日、生前太宰治が通い、短編「十二月八日」に店名が登場する三鷹駅南口近くの「伊勢元酒店」跡地に建てられたビルの1階に、三鷹市は「太宰治文学サロン」を開設しました。入り口では、太宰治の大きな写真が出迎えてくれます(写真)。現在、戦時体制下の太宰の作家活動や桜桃忌にちなみ「桜桃」「グッドバイ」の複製原稿を展示しています。
決して広くはないサロンには、太宰の生前を知る方や、「太宰が生きたまち三鷹」を感じ取るための出発の場所として来訪される方が市内外から多くあり、開設後まだ3カ月過ぎたばかりの6月はじめに、すでに累計8千人を越しています。土日にはみたか観光ガイド協会の皆様が太宰ゆかりのスポットを解説付きで案内してくれます。
ひょっとしたら、近いうちに、あなたが1万人目のお客様になるかもしれません。
第127回 平成20(2008)年7月6日公開
自分たちの地域は自分たちで守る
6月27日、三鷹消防署、三鷹防火管理研究会主催の「平成20年度自衛消防訓練審査会」が開催されました。市内の病院、社会福祉施設、企業等の事業所では、自分たちの職場の防火防災のために自衛消防隊を組織しています。今年度の審査会には25事業所31隊が参加して日頃の訓練の成果を元気はつらつとして発揮しました。
そして、厳正な審査の結果、三鷹市役所自衛消防隊が男子隊、女子隊ともに出場した部門で優勝しました。18年度は女子隊が優勝し、19年度は男子隊が優勝して、今年度は両隊そろって優勝の評価を受けました。
市では、新任職員を対象に、18年度から「安全安心研修」として、自衛消防訓練、総合水防訓練、総合防災訓練のいずれかへの取り組みを必修としています。
三鷹市では、「自分たちの地域は自分たちで守る」という理念に基づき、三鷹消防署、三鷹市消防団に加えて、各地域の自主防災組織が訓練や啓発活動に努力をしてくださっています。
そこで、私は、新任職員には、頭を使い、体を動かし、協力して安全安心を確立してもらうための研修に力を入れてきました。三鷹消防署のご指導をいただくとともに、防災課等各職場の職員の支援を得て、その想いを職員が体現し、優勝するまでに実力を高めることができたことは、大変うれしいことです。
市民の皆様の安全安心を第一に考える職員の活躍を、これからも奨励していきたいと思います。
第128回 平成20(2008)年7月20日公開
「子どもの視点」を尊重した三鷹の森ジブリ美術館
三鷹市立アニメーション美術館「三鷹の森ジブリ美術館」では、ただいま「小さなルーヴル美術館展」を開催しています。
私は先日、中島清文館長の案内で鑑賞してきました。今回の特別展は、フランスのルーヴル美術館に所蔵されている美の象徴「ミロのビーナス」をはじめ、彫刻や絵画を40%に縮小して制作し展示しています。
縮小のアイデアは、ジブリ美術館を運営している徳間記念アニメーション文化財団の氏家齊一郎理事長からフランスのルーヴル美術館のアンリ・ロワレット館長を紹介された中島館長が、二つの美術館の魅力を活かした企画ができないかと前館長で財団理事の宮崎吾朗さんと話し合う中から生まれました。ルーヴルの所蔵品の縮小や、絵画を立体化して低い位置からも覗けるような展示手法は、まさに「子どもの視点」に立つものです。
私はこれまで二度ルーヴル美術館を訪問したことがありますが、とにかく天井の高い広大な美術館です。実際に「小さなルーヴル美術館展」を見て、展示物の縮小などの工夫は、単にジブリ美術館の広さに合わせるためだけでなく、作品を身近にし、その中に新しい発見と感動を生み出す新手法だと確信しました。
このたび、市では、「三鷹子ども憲章」を制定しました。私たちおとなは、常に自分たちも子どもであったことを忘れずに、物理的にも精神的にも「子どもの視点」を尊重して何事にも配慮したいと思います。
第129回 平成20(2008)年8月3日公開
高めよう地域の防犯力
7月27日(日曜日)午前、三鷹駅南口中央通りで、連雀学園三鷹市立南浦小学校鼓笛隊の元気溢れる演奏の中、「地域防犯パレードと市民の集い」を実施しました。
三鷹市は、本年度、集合住宅が多い上連雀、下連雀地域を重点地区として、東京都の「地域防犯モデル事業」を、警視庁三鷹警察署との協働で実施しています。このパレードは、本モデル事業の一環として、事業内容の広報と、夏季期間の窃盗等の犯罪防止を呼びかける目的で行ったものです。
当日は、東京都青少年・治安対策本部の久我本部長、三鷹警察署の大窪署長、三鷹市防犯協会の吉野会長、三鷹市生活安全推進協議会の山本会長をはじめ、安全安心・市民協働パトロールを実行してくださっている町会・自治会等の団体が多数参加されました。参加者と沿道の皆様は特別参加の警視庁女性白バイ隊や警備犬の模擬訓練等を見学したり、騎馬隊の馬に試乗したりして、地域防犯の意識を高めてくださいました。
市民の集いでは、下連雀地区の集合住宅の居住者代表が、「かねて窃盗事件が発生したこともあり、地域の町会と管理組合が協働して、最適な防犯カメラ等の設置や自主的活動を通して、集合住宅の防犯力を高めたい」との決意を宣言されました。
市内の犯罪発生件数は昨年、今年と減少傾向を強めていますが、集合住宅の窃盗事件や不審者の侵入等の事案は懸案となっています。本モデル事業を通じて、地域の防犯力を、市民の皆様の協働によりさらに高めていきましょう。
第130回 平成20(2008)年8月17日公開
「星と風のカフェ」から生まれる物語
7月24日、私は首相官邸で開催された政府の「中央障害者施策推進協議会」に委員として出席しました。当日は、障害者施策の実施状況や障害者自立支援法の見直しなどのテーマについて議論がなされました。この協議会は、障がいのある方々や支援団体からの委員が過半数を占めるもので、自治体関係者は私がただ一人です。
その会議で私は7月7日にオープンした三鷹駅南口さくら通りに面した「星と風のカフェ」について報告しました。これは、約20の障がい者の作業所や関係団体のネットワークによって、障がい者の就労支援施策の一つとして、作業所の自主製品を紹介・販売するアンテナショップです。
このショップの展示のデザインや独自商品の開発等では、国立天文台と武蔵野美術大学の協力をいただけることから、名称に「星」と「風」を付けました。
また、7月18日には「第2期三鷹市障がい福祉計画検討市民会議」が始まりました。公募委員、障がいのある方々や支援団体の代表といった委員により、今後、障がい者の皆様が地域で自立していくための就労支援、生活支援等のあり方について積極的な話し合いが進められることでしょう。
「星と風のカフェ」では、飲み物をいただきながら、語り合える空間もあります。そこから、出会いとふれあいの物語が始まることと思います。私は障がい者の皆様の生きる力が尊重され、支えられつつ、自立して暮らせる三鷹市を目指し続けていきます。
第131回 平成20(2008)年9月7日公開
長寿を祝福し合うまち三鷹
今年4月に厚生労働省が公表した自治体別の生命表(平均寿命)によれば、三鷹市の男性の平均寿命は81歳を越し、全国の市の中で第1位でした。前回の発表は5年前でしたが、その時も市の中で第1位でした。第1位ではありませんが、もちろん女性も長寿です。
三鷹市民が長寿である要因については、医療・介護機関の活躍による保健・予防活動や医療・介護が充実していることや、町会・自治会や住民協議会、NPO、任意団体等によるコミュニティを基礎とした諸活動が充実していることなどが考えられます。
私は毎月、88歳、99歳、百歳以上の市民の皆様をお誕生月に訪問し、敬老金をお届けして、長寿の秘訣も教えていただいています。最近も、ある男性は「退職後、高齢になると何もしなければ知り合いは減る一方ですから、社交ダンスを始めて、健康と仲間と両方を得ているんですよ」と話してくださいました。また、99歳から毎年お訪ねしている百歳を過ぎてお元気な女性は、毎日手芸をしたり、散歩したりするなど、必ず手足を動かしているということです。
9月の第3月曜日は「敬老の日」で、三鷹市では、13日と14日に4回に分けて、公会堂で、77歳以上の市民の皆様を地域別にお招きし「敬老のつどい」を開催します。公会堂では、市立中学校の生徒の皆さんが移動補助や麦茶のサービスに活躍してくれます。
長寿を祝福し合うまち三鷹を、相互の信頼で進めていきましょう。
第132回 平成20(2008)年9月21日公開
人命を守る救命救急医療の大切さ
9月9日は「救急の日」です。毎年、東京消防庁ではこの日を記念して、救命講習等を推進し、人命の安全及び救急行政に功労のあった個人や団体に感謝状を贈っています。今年、三鷹市内では、三鷹市役所を含む5団体が東京消防庁救急部長から感謝状を、8団体等が三鷹消防署長から感謝状を贈呈されました。
三鷹市役所がいただいた理由は、市長、副市長を含む全職員と全議員が上級救命技能講習を受講するなどの取り組みが評価されたものです。
救急部長感謝状は、井の頭地区住民協議会、三鷹中央病院、富士重工業株式会社東京事業所、明星学園高等学校が共に贈呈されました。
近年は救急車の必要がないのに救急車を呼ぶ方が増えて、本来的救急業務に支障がでることが問題になっている中、三鷹医師会の角田徹会長と高山俊政副会長には、救急出動の要否について相談にあたっている功労により、三鷹消防署長感謝状が贈られました。
また、岡庭医院の院長はじめ、杏林大学高度救命救急センター、野村病院、三鷹中央病院の救急担当医師の皆様には救急医療の功労に対して、明泉幼稚園、三鷹市立アニメーション美術館には応急救護訓練の実施に対して署長感謝状が贈られました。
市民の皆様が、突然の病気や事故等で真に救命救急の働きが必要なときに、しっかり確保できますように、これからも市は、消防署、病院、事業者等との連携に努めたいと改めて決意しました。
第133回 平成20(2008)年10月5日公開
盛り上がった外環の市民参加
8月23、24日、9月27、28日と4日間にわたり、事業主体の国土交通省・東京都と地元の三鷹市との共催で、東京外かく環状道路(以下、外環)中央ジャンクション三鷹地区検討会を実施しました。
外環計画は、平成19年4月に本線を地下方式とする都市計画変更が決定され、12月には国土開発幹線自動車道建設会議において基本計画が了承されていますが、北野地域を中心とした地域にジャンクション、インターチェンジ、2カ所の換気所が予定されていて、三鷹市が受ける影響は沿線各地区の中でも極めて大きいものになります。
そこで、三鷹市ではこれまで市議会特別委員会、都市計画審議会等の各審議会、専門家の助言者会議等で外環計画の課題を検討し、説明会や広報特集号等で情報提供し、市民意見をお聴きしてきました。私が市長就任後の5年前からは、国や東京都に対し、市民意見を反映した質問書や要望書を各段階で提出し、昨年1月には、しっかり市民意見を聴く機会を開催してほしいとの要望を含む10分類42項目の意見書を提出しました。
検討会では、町会等関係団体から推薦された約30人と、「無作為抽出」の方法によりお願いした94人の市民が活発に討議されました。8月には外環計画による環境・交通・コミュニティ等について多くの課題が提起され、9月には様々な課題解決策や夢のある提案が出されました。ある参加者の表現を借りれば、迷惑施設を市民がワクワクするような施設にするためのアイディアがたくさんありました。なお、これらの市民意見については、まとまり次第広報紙やホームページで公表するとともに、国や都に提出していきます。
第134回 平成20(2008)年10月19日公開
大きな出逢いの力
9月19日、天皇皇后両陛下が三鷹市を行幸啓された際に、私は両陛下に追従する機会を与えられました。両陛下が、社団法人三鷹市シルバー人材センターと三鷹市山本有三記念館で、センター会員の皆様の活動をご視察され、体験談を直接お聞きになり、励まされるお姿に触れ、大きな「出逢いの力」を感じました。
さて、秋たけなわの今、三鷹市では、文化やスポーツなどの行事が多く開催されています。10月5日に井の頭公園西園で開催の「三鷹国際交流フェスティバル2008」には約3万5千人の参加者があり、13日に開催の「みたかスポーツフェスティバル2008」には約1万2千人の参加者がありました。
これらの行事は、いずれも数百人にのぼる市民ボランティアの実行委員の皆様に支えられています。また、11日に農業公園で開催の「ガーデニングフェスタ2008」は、緑化推進委員の皆様との協働で、花と緑のまちづくり推進を目標に4回目の開催となりました。
すでに順次開催されている市民スポーツ大会は体育協会中心の皆様との協働で、10月26日に始まる市民文化祭は芸術文化協会の皆様との協働で実施されています。
スポーツも文化も活動を継続していくためには同じ分野で支え合う仲間が大切です。また、発表の機会に参加して、激励したり応援したりしてくれる存在も大切です。
皆様が何らかの活動を始めたり、継続したり、発展していくために、それぞれの「出逢いの力」を大切にしたいですね
第135回 平成20(2008)年11月2日公開
三鷹ネットワーク大学がつなぐ民学産公
三鷹ネットワーク大学は、10月で開設3周年を迎えました。
私は市長になる前は大学教員でしたので、大学とは今や学生ばかりを対象とするのではなく、むしろ地域に開かれ、他の団体と連携していくべき存在だと強く認識していました。そこで、市長に就任した平成15年の9月から、市内のアジア・アフリカ文化財団、杏林大学、国際基督教大学、国立天文台、日商簿記福祉専門学校、ルーテル学院大学をはじめ10の大学等に呼びかけ、法政大学の清成忠男総長(当時)に委員長をお願いして市と大学等との協働のあり方を検討をしていただきました。
そして、三鷹市と大学等の代表を正会員・理事とする特定非営利活動法人「三鷹ネットワーク大学推進機構」を指定管理者として、平成17年10月に三鷹ネットワーク大学が開設されたのです。
現在16の正会員のほか、多くの大学・企業等が賛助会員となり、(1)教育・学習機能、(2)研究・開発機能、(3)窓口・ネットワーク機能の3つの働きを推進しています。
開設している講座は、太宰を読む百夜百冊、サイエンス・カフェ、SOHOベンチャーカレッジなど多彩です。内閣府の地域再生計画に認定された国立天文台との協働による科学プロデューサー養成講座をはじめ、文部科学省や経済産業省から支援を受ける産学協働の人財育成や研究開発の取り組みが増え、三鷹ネットワーク大学は、新しいかたちの民学産公のつながりを生み出しているのです。
第136回 平成20(2008)年11月16日公開
「実りの秋」を実感できる幸せ
三鷹市は、市域の約1割が農地で、厳しい環境の中、都市農業が健在です。11月8日、9日の2日間、三鷹市役所周辺で第48回三鷹市農業祭が開催されました。品評会には、約三千という近隣市でも屈指の野菜、果物、植木、花、鶏卵等の出品があり、市長賞、都知事賞などが選出されました。
農業祭の運営は、東京むさし農業協同組合の須藤正敏組合長を会長とする農業祭運営委員会が行い、農業祭の入り口には、若き農業後継者で構成される三鷹地区青壮年部の皆さんが作った野菜の宝船が、今年もみごとに展示されました。
また、昨年から同じ青壮年部が小学生対象に公募している「農のある風景画」には、今年は800を超える応募があり、市長賞、教育長賞、農業協同組合長賞、農業委員会長賞などが贈呈されました(写真)。
三鷹の多くの子どもたちにとって、市内に都市農業があるだけでなく、学校農園、食育の推進、エコ野菜地域循環モデル事業、ほたるの里・丸池の里の水田づくりの体験などを通じて、日頃から農業が身近であることが、この応募数にも反映されています。入賞した絵で、来年は食育カレンダーも制作されるということで、大いに楽しみです。
食の安全安心が課題となる中、都市農地は地産地消を可能にするだけでなく、災害時の緊急避難場所や災害の広がりを食い止める空間としての機能も果たします。
「実りの秋」を実感できる幸せを継承していきたいですね。
第137回 平成20(2008)年12月7日公開
「天真爛漫」がもたらす幸せ
今年は太宰治没後60年にあたり、3月には太宰治文学サロンを開設しました。そして、11月22日から12月21日まで、三鷹市美術ギャラリーで「太宰治 三鷹からのメッセージ―没後60年記念展―」(入場無料)を開催中です。
22日のオープニングセレモニーにご参加くださった太宰治の長女である津島園子さんは、ご挨拶でこのように言われました。「父が亡くなったのは昭和23年ですが、4月に市立第四小学校に入学して、毎日が楽しくて楽しくてしかたがない年でした。何も知らない私が天真爛漫でいたことが、今思うと母にとってどれだけ救いであったかと思います」と。
当日は、太宰治が生まれた青森県金木町、現在の五所川原市教育長で「金木太宰会」名誉会長の木下巽さんも参加されました。そして、「今回の記念展は資料が豊富で、しかも東京大学准教授の安藤宏先生の監修により系統的に整理されており、太宰治が描いた油絵も飾られ、今までにない斬新な展示だ」と評価してくださいました。
今回の記念展には、日本近代文学館、青森県、神奈川県、山梨県の各文学館のご協力で充実した資料が集められています。そして、津島園子さんをはじめご遺族のご協力による初出の資料により、「太宰が生きたまち・三鷹」の文学の道筋が明らかになっています。
両親と一緒に写っているまだ赤ちゃんの津島園子さんの、文字通り「天真爛漫」な笑顔は、太宰治が三鷹で生きたことの確かな証しとも言えると思います。
第138回 平成20(2008)年12月21日公開
共に自立を支え合うために
三鷹市では12月6日に、三鷹市障がい者福祉懇談会との共催で「心のバリアフリーを考えるつどい」を開催しました。
この事業は「障害者週間」にちなんで17年度から始めているものです。当日は、4年前のアテネ・パラリンピックのマラソンに出場し入賞された視覚障がいを持つ福原良英選手が、伴走者に支えられてのマラソン体験から得た心のバリアフリーの実感と意義について、「スポーツはバリアを越えて」と題して、基調講演をしてくださいました。
また、14日には、NPO法人みたかハンディキャブ(宇田邦宏理事長)の「創立30周年記念感謝の会」が開催されました。記念誌の「あおぞら号、走り続けて30年!」には、障がい者の外出を福祉車両を用いて支援する市民有志の移動サービスを、昭和53年12月に全国の草分けとして開始して以来の歩みが刻まれています(写真)。
平成11年には移動サービス団体として全国で初めてNPO法人格の認証を取得し、平成18年には、それまでの実績から、国の新しい制度に基づき「福祉有償運送」の許可を取得しています。
30年間の走行距離は約140万kmで、地球35周分にもなるそうです。障がい者をはじめ移動に困難のある皆様が、ハンディキャブの活躍によって外出した距離がこれほどの長距離になったということです。
偏見を持たないコミュニケーションと移動支援は、どちらも自立を支える大切な取り組みです。
第139回 平成21(2009)年1月1日公開
「天文台のあるまち・三鷹」の魅力
三鷹市大沢に、都心から天文台が移転してきたのは大正13年、今から85年前のことでした。首都であり大都会の東京にあって、月や星や太陽があざやかに観測でき、しかも森も残る研究教育拠点として三鷹は選ばれたのです。
その天文台が、大学共同利用機関法人自然科学研究機構「国立天文台」として改組されて、昨年末に20周年を迎えました。
近年、三鷹市と国立天文台はさまざまな協働の取り組みを進めてきています。内閣府の指定を受けて科学プロデューサーなどの「科学人財」を育成する地域再生計画や、三鷹ネットワーク大学での「星のソムリエ」の育成や「アストロノミー・パブ」の展開で協働したり、また今年の夏には、国立天文台の旧官舎を復元してつくる「星と森と絵本の家」も開設の予定です。
今年は「世界天文年」です。ハワイのすばる望遠鏡での観測を支援し、世界最先端の太陽研究や四次元デジタル宇宙映像システムなどの開発をしている国立天文台とのさまざまな協働を通して、「天文台のあるまち・三鷹」の魅力を、さらに実感していただく一年にしたいと考えています。
三鷹から宇宙に開かれた窓を通して、皆様には何が見えますか?
第140回 平成21(2009)年1月18日公開
地域力の基本は安全安心から
世界同時不況という厳しい社会経済状況だからこそ、三鷹市の「まちのにぎわい」を維持し向上させていくことが必要です。そして、そのためには、何といっても地域の安全安心力が基本です。
人々が安心して地域を歩いていることで、行き交う人の姿が犯罪を防ぐ力となり、日常的な交流があることは、いざというときの地域の防火防災力と災害時の相互支援力の基礎となります。
ここで、平成20年の一年間を振り返って、三鷹市の安全安心力を象徴する成果をお伝えしたいと思います。第一に、三鷹警察署によると、昨年は刑法犯認知件数が平成19年を約1割も下回り、昭和63年以来20年ぶりに2千件を切りました。交通人身事故の発生件数も約630件と、平成19年を約7%下回りました。
第二に、三鷹消防署によると、昨年の火災による焼損床面積は、年間平均が約800平方メートルのところ、111平方メートルとなり、昭和42年に三鷹消防署が開設されて以来の最小となりました。
私は、こうした成果に対し、三鷹警察署、三鷹消防署及び三鷹市消防団に感謝状を贈りました。
防犯については、防犯協会や市民と職員の安全安心パトロールによる防犯活動が実施され、防火防災については、防火防災協会等や住区ごとの自主防災組織、町会の防火防災の取り組みが活発です。
地域力の基本である安全安心力を、今年も市民の皆様との協働で向上させていきましょう。
第141回 平成21(2009)年2月1日公開
三鷹むらさき商品券が結ぶ絆
自立した健康長寿の実現には、生活必需品を入手できる身近な商店が不可欠です。また、商店街があることは、通学する子どもたちにとって心強いものであり、配達する車による安全安心パトロールの協力も含めて、地域の防犯や支え合いにも貢献しています。
しかしながら、地域でのこのような社会的機能が期待されている商店にとっての経営上の課題は、大規模店舗が増える状況下、毎日の安定した売り上げ確保と後継者の確保です。
商店の経営は、もちろん自立的なものですが、三鷹市は消費者の利便と地域商店の活性化のために、今年度三鷹商工会及び三鷹市商店会連合会と協働して、地域商品券事業を実施しました。この商品券には、三鷹が染料の原料となる植物「紫草」のゆかりの場所であることから「三鷹むらさき商品券」という名称が付けられました。市内の600を超す商店で利用できる千円券11枚で1万円の商品券は、昨年11月25日に発売され、翌日の午前中には完売し、有効期限の1月末日まで利用されました。
商品券事業は、地域の商店会が、消費者に認知され利用されて存続することを支援するために、東京都の「新・元気を出せ! 商店街事業」の補助金を生かしつつ、市が補助金を出して実施したものです。
多くの人にご利用いただけるように一人あたり10万円までの制限を付けましたが、発売開始日が平日であったので、都合がつかず買えなかったという声もありました。今年度の評価と反省をした上で、今後の継続のあり方を検討中です。
第142回 平成21(2009)年2月15日公開
未来に向けた国立天文台との協定の締結
2月4日立春の日、市内大沢にある国立天文台の観山正見台長と私は、「国立天文台と三鷹市との相互協力に関する協定」を締結しました。
国立天文台の正式な名称は「大学共同利用機関法人・自然科学研究機構・国立天文台」であるように、国内の天文学研究の重要な拠点であり、今年10周年を迎えるハワイのすばる望遠鏡での観測に代表されるように、国際的なネットワークを生かして、最先端の天文学研究を進めています。 加えて、今年はガリレオ・ガリレイが望遠鏡で初の天体観測をしてから400年を記念する「世界天文年」です。前台長の海部宣男さんは「世界天文年2009日本委員会」委員長をされています。
この協定は、国立天文台の高度な学術研究を生かし、これまで市と協働で進めてきている「科学プロデューサー」や「星空案内人(星のソムリエ)」等の科学や天文学の人財育成及び学校教育等への協力を含みます。
今年の夏には、大正時代に建てられた旧官舎を復元して建設中の「星と森と絵本の家」が開設予定です。国立天文台構内には「上円下方墳」や「アインシュタイン塔」などの歴史的文化財があります。また、植物や動物の自然環境も豊かで、その保全のあり方も課題です。
今後は、この包括的な協定に基づき、双方の代表による定期的な協議会を開催し、自然を保全しつつ、学術、文化等の幅広い分野で、市民の皆様にとって有意義な協働を進めていきたいと考えています。
第143回 平成21(2009)年3月1日公開
今ある危機を乗り越え、輝く三鷹の未来を切り拓くために
平成21年度予算案一般会計 611億5,814万円
平成21年度の市の予算案が、2月26日から始まった市議会定例会で審議されます。
新年度の予算案は、今ある危機を乗り越えて輝く三鷹の未来を切り拓くために、「安心」、「活力」、「未来」の3つの「視点」を重点政策のポイントとして、「選択と集中」による経営資源の重点化を図り編成しました。
三鷹市は引き続き、「高環境・高福祉のまちづくり」による、「人間のあすへのまち」の実現に向けた取り組みを進めていきます。
新年度の施政方針(概要)
昨年来の経済危機については、「100年に一度」と形容されるなど、まさに、今、世界は、同時に大きな経済危機に直面していると言えます。日本経済も、長い低迷期を脱却しつつ景気回復を続けてきましたが、昨年のサブプライム危機に端を発する金融資本市場の混乱が国内の実体経済にも悪影響を及ぼし、雇用情勢が一層厳しさを増すなど景気は急速に悪化しています。
そのような状況の中で、現在、国・地方を通じて「政府」に求められる役割は、「今ある危機」に的確に対応すべく、市民生活を守るセーフティーネットをきめ細かく作り上げるとともに、未来を見通した確かなビジョンを構築し、その実現を目指して、地域の展望と活力を創出し、「未来への投資」に向けた着実な取り組みを進めることだといえます。
下水道を代表とする都市基盤等の整備を先駆的に進めてきた三鷹市が、現在、直面している都市の更新に関する課題は、先例となる解決のモデルが少ない困難なものです。今後、日本の多くの都市自治体が直面するであろうこの課題の解決を先導する、未来を先取りした都市再生モデルの提示が三鷹市に求められています。もちろん、それには確かな自治体経営の手腕も必要とされます。
そこで、私は、本年度の予算編成に際しては、各部の経常業務について従来にも増して厳しい2・5%の目標削減比率を設定しました。さらに市民の皆様のニーズに対応する新規事業に取り組む際には、現状の業務を廃止したり変更したりして臨むという「スクラップ・フォア・ビルド」を徹底させました。その上で、市税の動向及び市債や基金の健全な活用に配慮しつつ、学校、保育園等の公共施設の建替えや改修、生活に欠かせない新ごみ処理施設の建設等の「未来への投資」を決断しました。
そして、本年度を「市民の皆様の生活から不安を取り除き、未来に向け、希望を持って暮らしていけるよう、持続的で安定した地域社会への道筋をつける年」と位置付け、市民の皆様の生活を守り、「人間のあすへのまち」の扉を開くために、「安心」、「活力」、「未来」の3つの「視点」を重点政策のポイントとして、「選択と集中」による経営資源の重点化を行いました。
1 まちの「安心」をもたらすために
不安定な経済状況から市民の皆様の生活を守り、景気後退の直撃を受けた市内の中小事業者を支援して不安を解消するために、各種の相談や資金の融資あっせん等の緊急不況対策の取り組みを拡充するとともに、東京都と連携した緊急雇用創出事業を行います。
また、全ての世代の市民の皆様が安心して暮らせるよう、小中学生の義務教育就学児医療費の助成の拡充や地域ケアを推進する福祉を担う人財の育成を進めます。さらに、住宅用火災警報器や家具転倒防止器具の給付を行うとともに、旧耐震基準に基づき建築された住宅の建替え及び耐震改修について固定資産税減税など税制面から支援し、災害に強いまちづくりを推進します。そして、新たに第三小学校校舎と第五中学校体育館の建替えに取り組むとともに、耐震補強を含む公会堂リニューアル整備の設計や消防団第一分団詰所の建設に着手するなど、引き続き防災拠点施設を中心とした公共施設の整備を進め、安心の都市基盤と都市施設を創ります。
2 まちの「活力」を高めるために
昨年度に三鷹商工会、三鷹市商店会連合会と連携して実施した市内共通商品券について、本年度は発行総額が2倍となる2億2千万円に拡充を図るとともに、開園5周年を迎える農業公園で記念事業を実施するなど、地域の産業と経済の活性化を図り、「三鷹のにぎわい」を拡げます。また、平成22年に迎える市制施行60周年のプレ事業として、本年度は 国立天文台と連携した「三鷹の森 科学文化祭(仮称)」を開催するほか、生誕100年となる太宰治の顕彰事業を実施します。
さらに、三鷹ネットワーク大学や市民協働センターの運営、そして三鷹の都市観光の振興や花と緑のまちづくりについては、特定非営利活動法人(NPO)とのパートナーシップを基調とし、「民」の力の発揮によるまちの活性化を進めます。
3 まちの「未来」を切り拓(ひら)くために
本年度はこれまでの4つの中学校区での実践に加えて、残る3つの中学校区で新たなコミュニティ・スクール型の小・中一貫教育校を開園します。厳しい時だからこそ、これからの社会やまちづくりを担う人財を育てることが必要であると考えます。
さらに、重点的な取り組みを行ってきている都市再生については、現在、策定を進めている「都市再生ビジョン(仮称)」において、その方向性を一層明確にするとともに、市民センター周辺地区の整備基本プランの策定を進める中で、各種公共施設の「集約型」の整備や再配置を視野に入れた検討を進めていきます。
また、本年度は、三鷹の将来構想の策定に取り組む必要があると考えています。そこで、「これからの10年の取り組みが、次の100年の三鷹市のあり方を決める」という時間軸を踏まえた状況認識に立ち、新たな総合計画となる第4次基本計画や、新たな行財政改革推進計画等のあり方について、総合的かつ未来を見通した政策研究に取り組みます。直面している課題の解決を図り、いつまでも、このまちで安心して心豊かに暮らし続けることができるよう、都市としての「快適性」を確保し、景気のみに左右されない、毅然とした「品格」のあるまちづくりを進めていかなくてはならないと考えています。
日本の経済や市政を取り巻く環境は、昨年以上に厳しいものになると想定されていますが、「ピンチこそ、チャンス」にしなければなりません。私は、「今ある危機」を乗り切り、力強く前に進む、市民の皆様の力強さ、底力とまちの潜在力(ポテンシャル)を信じています。厳しい状況だからこそ、市民の皆様や市議会の皆様とともに、今の危機を乗り越える知恵を絞り、未来を切り拓くための展望を語り合い、そして熱い思いを込めて、三鷹市の未来をご一緒に築いていきたいと思います。
私は、本年度も、誠心誠意、全力で市政運営を行い、「協働・感動・躍動が息づく、輝くまち三鷹」の創造に取り組んでまいります。
第144回 平成21(2009)年3月15日公開
三木露風「赤とんぼ」の詩碑のある公園の誕生
「夕焼小焼の赤とんぼ 負われて見たのはいつの日か」
この「赤とんぼ」は、大正10年に三木露風が童謡集「眞珠島」に発表し、昭和2年に山田耕筰が曲をつけ、日本の童謡の中でも、特に親しまれ愛唱されています。
平成19年には、文化庁と日本PTA全国協議会が親子で歌い継いでほしいと選択した「日本の歌百選」の1曲にも選ばれています。
三木露風は、兵庫県たつの市(姉妹都市)に生まれ、その後半生を三鷹市牟礼で詩作して過ごし、今年は生誕120年を迎えています。
そして、今年の1月、露風が眠る墓所の近くの三鷹台団地の一角に、独立行政法人都市再生機構のご寄付により、「赤とんぼ児童遊園(通称赤とんぼ公園)」が誕生しました。
公園の入口には、露風の直筆の文字を生かした「詩碑」が建てられています。2月13日に行った開園式にはご子息の三木豊晴氏ご夫妻がご参加くださり、三鷹市内では初めて建立された詩碑を、大変喜んでくださいました。
開園式には、三鷹市立高山小学校の5年生全児童も参加して、露風の作詞による校歌や「赤とんぼ」などを歌い、露風作詞の童謡を楽器で演奏してくれました。
公園内には露風の詩碑に加えて、「赤とんぼ」にちなんだデザインのベンチや赤とんぼが描かれたスツール、そしてグランドピアノの形の池もあります。春たけなわの赤とんぼ公園を、ぜひお訪ねください