目次
- 市民の皆さんと私とのお約束~マニフェストについて~
- 基礎となる《2つの信念》
- 実行に移す《7つのポイント》
- 最初の1年間に行う《スタートダッシュ10》
- 具体的な《30の重点施策》
市民の皆さんと私とのお約束~マニフェスト(*注)について~
市民の皆さんと私とのお約束である、このマニフェストは、「これからの三鷹をこんなまちにしたい」という理念やビジョンと、そのための政策目標をできる限 り具体的にお示しし、4年後の三鷹の未来像を市民の皆さんと共有するためのものです。私のマニフェストは、「できたらいいなと思っていること」の羅列では ありません。私が「実行する」と考えていることであり、市民の皆さんとご一緒に「実現していきましょう」というお約束をするためのものです。
私がこのマニフェストを作成するにあたり、前提としていることは次の6点です。
- 私のマニフェストでは、市民参加で作られた「三鷹市基本構想・第3次基本計画」の実現を最も重要な柱として位置づけます。
- 私 のマニフェストでは、「三鷹市基本構想・第3次基本計画」の施策の中から、私が特に優先度が高いと思うものを選んでお示ししています。その上で、計画策定 後から現在までの間の状況等の変化を踏まえて私が新たに付け加えたものや、市民の皆さんとのタウンミーティングの中から生まれてきたものが含まれていま す。
- 私がマニフェストでお示しした施策については、その実現にあたって、具体的な手法等についてのさらなる議論が必要です。市民の皆さんや市議会のご協力を得て、実行して行きます。
- 私がマニフェストで市民の皆さんと交わしたお約束は、実施後に個々の評価を受けるとともに、その総合的な達成度については、4年後に市民の皆さんに改めて検証していただくものです。
- 以 上のような点を踏まえ、私はマニフェストで、基礎となる理念としての《2つの信念》、実行に移すビジョンとしての《7つのポイント》をお示しします。これ らの理念とビジョンを踏まえ、最初の1年間ですぐに行う項目である《スタートダッシュ10》と、4年間をかけて実現に移して行く具体的なプログラムとして の《30の重点施策》を市民の皆さんに示します。
- 私のマニフェストは三鷹の未来についての設計図であり、市民の皆さんと交わすお約束です。私は4年間をかけて、この内容の遂行に責任を持って臨みます。
注)「マニフェスト」
「マニフェスト」とは、英国の選挙で最近よく使われるもので、日本語では「政策綱領」と言われるものです。政策の期限や財源、手順等を明示した「マニフェ スト」は、英国では、首長候補者や政党が政権をとった際に「必ず実行する政策」を約束した政策の「宣言」であり、有権者に対する「制約」や「契約」と位置 づけられるものです。「マニフェスト」は、「必ず実行される政策」を約束したものですから、市民にとって、その作成者がどのような自治体を作って行こうと 考えているのかがわかりやすく、争点が明確になるという利点があります。このようなことから日本でも、従来の総花的な公約ではなく、「マニフェスト」とい う形で政策を表現しようという動きが出てきています。
基礎となる《2つの信念》
- 三鷹市基本構想に掲げる「平和、人権、自治」の理念に基づく、「市民の視点」に立った「自治体経営」
- 「協働」「感動」「躍動」が息づく「人々が信頼しあうまち三鷹」の創造
実行に移す《7つのポイント》
- 高齢者や障害者に安心を 安全で便利なバリアフリーの推進を
- 子どもたちに笑顔を 教育に地域の力を
- 地域に活力を 誰もが生きがいを
- 美しい緑と水の保全を 環境にやさしいみちづくりを
- コミュニティの更なる発展を いきいきと心豊かな協働の推進を
- 市民サービスの向上を 徹底した行財政改革を
- 個性的な文化のまちづくりを 生涯学習による発信を
最初の1年間に行う《スタートダッシュ10》
- 市民の皆さんと私を直接繋ぐタウンミーティングの実施とメールマガジンの発行
- 三鷹駅前等の公共性・緊急性の高い地域でのバリアフリー化の実施
- 「教育・子育て研究センター」の開設(「まちづくり総合研究所」の開設の中で実施)
- 産業振興と不況対策への取り組み強化(高齢者等の雇用相談窓口の開設を含む)
- 男女平等参画条例の制定
- 農業公園の開設
- 市民協働センターの開設
- 自治基本条例の制定
- 情報セキュリティ・ポリシーの構築と第3者機関からの認証
- 徹底した行財政改革(組織の改革・補助金の見直し・窓口改革 等)
1 高齢者や障害者に安心を 安全で便利なバリアフリーの推進を
(1)バリアフリーのみちづくり・まちづくりの推進
高齢者や障害のある方が安心して暮らせるまちとは、誰にとってもくらしやすいまちです。道路、公共施設等のバリアフリーとIT(情報通信技術)の活用で、三鷹をユニバーサルデザイン(*注1)のまちにします。
4年間の目標:三鷹駅前等の公共性・緊急性の高い地域でのバリアフリー化の実施
(2)「地域ケア日本一」の実現
高齢者社会にあって今必要とされているのは、サービス利用者の視点に立った地域ケアの新たな手法です。介護サービスの充実とともに予防的な観点から健康な 生活を維持する仕組みづくりを進めます。保健・医療・福祉の関係者の皆さんとの連携を図るとともに、ボランティアやNPOの皆さんとの協力体制をつくり、 三鷹を在宅で生涯を全うできるまちにします。
4年間の目標:在宅で生涯を全うできる「地域ケア」モデル事業の実施
(3)安全と安心のまちづくり
自治体行政の基本的な責務は、市民の安全と安心の確保であることを再確認し、犯罪や災害を防ぐため、警察等の関係機関や関係団体、市民の皆さんとの連携から、積極的な取り組みを行い、三鷹市を「安全で、安心して生活できるまち」にします。
4年間の目標:犯罪発生率の低下等による「安全で、安心して生活できるまち」の実現
2 子どもたちに笑顔を 教育に地域の力を
(4)「教育・子育て研究センター」の開設
虐待の未然防止や不登校への対応、学校教育のあり方、幼児教育や子育てのあり方等を研究し実践するための「教育・子育て研究センター」を開設します。
4年間の目標:「教育・子育て研究センター」の開設
(5)幼稚園と保育園の融合による、子ども・子育て支援の強化
幼稚園と保育園の機能を融合させ、子育て中の家庭のニーズに合わせた保育と幼児教育を行います。
4年間の目標:保育園の待機児解消と市内全幼稚園で行う預かり保育への支援
(6)小中一貫教育の推進
市立小学校と中学校の教育を一貫して行うことで、学習に継続性と総合性を持たせるとともに、地域との連携を深めます。
4年間の目標:小中一貫教育モデル校の設置
(7)市内企業・大学・研究機関等による小中学校教育へのバックアップ体制づくり
市内にある企業や大学、研究機関等の参加を募り、義務教育現場への専門家の派遣や授業への協力体制をつくります。
4年間の目標:市内各企業、大学、研究機関等による小中学校への協力体制の確立
(8)「心が通い合うIT教育」の推進
授業でのITの有効活用を進めるとともに、地域の「人財」に協力を得る制度の導入により、「心が通い合うIT教育」を実践します。全ての小中学校のパソコン教室で1クラスの人数に対応したパソコン台数を確保します。
4年間の目標:IT教育への地域「人財」の活用と、全小中学校パソコン教室での台数確保
3 地域に活力を 誰もが生きがいを
(9)高齢者・障害者・女性の雇用の促進と起業支援の実施
低成長の時代にあって、市民が三鷹の中で収入と生きがいを見出し、地域社会の中で人とものが循環する新たなしくみをつくります。また、起業支援講座等を開設して、個人での起業のための支援体制を充実させ、SOHO事業者の増加を図ります。
4年間の目標:起業支援講座の開設高齢者・障害者・女性の雇用相談窓口の開設
(10)男女平等参画条例の制定
男女平等参画条例を制定します。
4年間の目標:男女平等参画条例の制定
(11)「あすのまち・三鷹」推進プロジェクトや特区申請による地域の活性化
現在進行中の「あすのまち・三鷹」推進プロジェクトや特区での取り組みをさらに進め、モデル実験をきっかけとした地域産業・地域社会の活性化を図ります。
4年間の目標:「あすのまち・三鷹」推進プロジェクトモデル事業の実施 特区の活用
(12)CGやアニメーション等のコンテンツ産業(*注2)の誘致・育成
CGやアニメーション等のコンテンツ産業を誘致・育成して、住宅都市での新たな産業を根付かせ、まちの活性化を図ります。
4年間の目標:コンテンツ産業の誘致と交流の促進
(13)農業・商業・工業・サービス業・新産業のバランスの取れた産業振興
三鷹のまちに活力を与える様々な産業について、バランスの取れた振興を図るとともに、不況対策等の強化や支援を行います。
4 美しい緑と水の保全を 環境にやさしいみちづくりを
(14)市民との協働によるみちづくり・公園づくりの推進
道路や公園のアダプトプログラム(里親制度)(*注3)をさらに進め、市民との協働によるまちづくりを行います。
4年間の目標:生活道路20箇所以上、公園50箇所以上でのアダプトプログラムの実施
(15)緑と水の回遊ルートの整備促進
バリアフリーの推進やアダプトプログラム、エコミュージアム(*注4)と連動して、緑と水の回遊ルートの整備を進めます。また、三鷹駅周辺や公園地域を中心にした「まち美化推進条例」を制定します。
4年間の目標:緑と水の回遊ルート整備 「まち美化推進条例」の制定
(16)農業公園の開設と「みたかガーデニング運動」の推進
緑と水の公園都市を実現する一環として、農業公園を開設します。この公園を拠点として、各住宅の緑化を支援する「みたかガーデニング運動」をJA(農協)やボランティア等との協働で推進するとともに、小中学校での農業体験を進めます。
4年間の目標:農業公園の開設と「みたかガーデニング運動」の推進
(17)コミュニティバス網の整備による交通不便地域の解消
交通不便地域を解消するためにコミュニティバス網を整備するとともに、乗り継ぎの利便性を向上させるため、市内全地域での、コミュニティバスと路線バス間での乗り継ぎ制度を拡充します。
4年間の目標:コミュニティバス網の整備と乗り継ぎ制度の拡充
(18)玉川上水を活かし環境に配慮した駅前広場の建設
三鷹駅前広場を「緑と水の公園都市」である三鷹の表玄関にふさわしいものとするため、玉川上水を活かし、環境に配慮したものとして整備します。
4年間の目標:玉川上水を活かし環境に配慮した駅前広場の整備
5 コミュニティの更なる発展を いきいきと心豊かな協働の推進を
(19)住民協議会等のコミュニティ活動への支援
三鷹市の市民参加の基礎でもある住民協議会への支援を行い、IT等を活用した新たな手法による各住区の現況診断と提案を含むコミュニティ・カルテづくりを行います。
4年間の目標:IT等を活用した新たな手法によるコミュニティ・カルテづくり
(20)市民協働センターの開設とNPO支援の推進
「まちづくり研究所第1分科会」での検討成果を活かして、市民協働センターを開設し、「市民との協働」の取り組みを「市民との協働」で行うとともに、NPOへの支援を行います。
4年間の目標:市民協働センターの開設による市民活動等への支援
(21)地域通貨の支援
「まちづくり研究所第1分科会」での検討成果を生かして、地域通貨に関する新しい市民活動を支援します。
4年間の目標:地域通貨に関する活動への支援
(22)まちづくり総合研究所での研究・開発型の施策展開
現在の「まちづくり研究所」を「まちづくり総合研究所」として拡充し、市民・行政・企業・研究者が協働で研究し新たな施策を開発するための仕組みをつくります。
4年間の目標:「まちづくり総合研究所」の開設
6 市民サービスの向上を 徹底した行財政改革を
(23)自治基本条例の制定
現在「まちづくり研究所」第2分科会で検討を進めている自治基本条例を、市民や市議会の協力を得てさらに議論を深めた上で制定します。
4年間の目標:自治基本条例の制定
(24)情報セキュリティモデル都市の構築
ITの更なる活用と平行して、インターネット時代にふさわしい情報安全対策(セキュリティポリシー)を制定し、自治体における情報セキュリティのモデル都市として第3者機関からの認証を受けることをめざします。
4年間の目標:情報セキュリティを構築し第3者機関からの認証を受ける
(25)徹底した行財政改革による健全財政の推進
三鷹市が長年維持してきた健全財政を堅持します。職員の適正配置や適正な民間委託等を強力に進め、協働型社会にふさわしい組織改革を図ります。また厳しい経済状況に対応するために基本構想に示された財政計画を見直し、行財政改革大綱及び同実施方策を改定します。
4年間の目標:公債比率15%経常収支比率80%台の維持 現行基金高の維持
(26)窓口改革による市民サービスの向上
市役所の全ての窓口サービスの向上を図るため、「接遇マニュアル」などを活用して全職場の窓口を市民本位に改革します。また、IT等を活用してワンストップ窓口サービスを実施し、市民サービスの更なる向上をめざします。
4年間の目標:IT等を活用したワンストップ窓口サービスの実施
7 個性的な文化のまちづくりを 生涯学習による発信を
(27)「絵本館」の開設
三鷹にゆかりのある絵本・童話・童謡の作家との関係を基礎とし、子どもが、本や歌に親しむための場として、また、絵本等を通じた海外の児童文化との交流を図る拠点として、「絵本館」を開設します。
4年間の目標:「絵本館」の開設
(28)エコミュージアムによる歴史と文化のまちづくり拠点整備
三鷹のまちに残る貴重な文化財を、文化のまちづくりを行うエコミュージアムの拠点として保存し整備するとともに、市内を歩きながら楽しめるサイン等を設置します。
4年間の目標:三鷹の歴史や文化を歩きながら楽しめるサイン等の市内各ポイントへの設置
(29)図書館のIT化によるサービス向上
図書館をIT化して貸し出し等の迅速化を図るとともに、インターネットでの予約と障害者等への配本サービスを組み合わせ、学校図書館やコミュニティセンター図書室とのネットワークを充実させて、更なる市民サービスの向上を図ります。
4年間の目標:図書館のIT化と障害者等への配本サービスの実施
(30)ネットワーク大学・大学院の開設による生涯学習の推進
三鷹市に関連の深い大学、企業と市民、行政の協働により、ネットワーク大学・大学院を開設してまちづくりと生涯学習を推進します。
4年間の目標:ネットワーク大学・大学院の開設
注1) ユニバーサルデザイン
バリアフリーは、障害のある人の生活に及ぼすさまざまな障壁を取り除くことを示す概念であり、ユニバーサルデザインは、障害のある人を特別に対象とするのではなく、全ての人に使いやすい製品、環境、情報のデザインをめざす概念です。
注2)コンテンツ産業
コンテンツとは、情報そのものや情報の内容をさすものであり、映画、音楽、アニメ、ゲーム、放送、出版、新聞等に関わるものです。コンテンツ産業とは、こうしたコンテンツの製作・流通に関わる産業と定義されます。
注3)アダプトプログラム(里親制度)
道路や公園を周辺住民が「里親」として管理することで日常的な美化活動を行うもので、市と市民のボランティア団体との間で協定を締結して進めています。
注4)エコミュージアム
伝統的な博物館とは異なり、人々が生活する一定の空間や地域を「博物館」として捉え、現地で歴史・文化・自然などに関わる遺産を展示し、当該地域の発展に寄与することを目的とした新しい概念の博物館を指します。