【一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)を訪問】
休眠預金活用制度とは、10年以上入出金のない預金等を活用して、民間団体が行う社会課題解決の活動に支援を行う制度です。
これは、2016年に成立した、国会の議員立法である「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)に基づいて、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金等(休眠預金等)を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度であり、2019年度から実際の活用が始まりました。
休眠預金等は、各金融機関から預金保険機構に移管された後、毎年度、必要な額が【指定活用団体】に交付されます。
その指定活用団体として、【一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)】が2018年に指定されています。
国民の預金を活用する訳ですので、【制度の目的】は、行政が対応することが難しい社会課題の解決を図るためや、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資するためということになります。
【支援の対象となる分野】は、この間、①子どもや若者への支援、②生活を営む上で困難を有する者への支援、そして③地域活性化、に絞られています。
加えて、コロナ禍や震災等の災害時の緊急支援にも活用されてきました。
そして、この制度の適切な運営を行うために、内閣府に【休眠預金等活用審議会】が設置され、私はその委員を務めています。
審議会では、基本方針、基本計画策定等に際して審議を行うことや、民間公益活動促進業務の実施状況を監視し、 内閣総理大臣に勧告するなどの役割を担うことを目的としています。
そこで、制度の施行後5年目の2023年には、法施行から5年が経過したタイミングで、制度の見直しが行われ、国会の議員連盟の取組みや、審議会での審議を経て、議員提案による休眠預金等活用法が改正されました。
具体的には、従来の支援の手法は、【資金分配団体】を通して【実行団体】に補助金を配分する助成事業が主でしたが、人材や情報面などの非資金的支援を行う【活動支援団体】への支援と、スタートアップへの【出資】についても加わりました。
休眠預金制度から施行してまもなくコロナ禍に入り、審議会はオンライン開催となりました。
そこで、審議会で報告していただく【制度の運営】指定活用団体のJANPIAの専務理事や事務局長らの皆さんとも、なかなか対面する機会を持てずにいました。
JANPIAの理事は次の皆様です。(敬称略)
○二宮 雅也・理事長(代表理事)
(SOMPOホールディングス株式会社 特別顧問)
○清水 秀行・日本労働組合総連合会 事務局長
○岡田 太造・(専務理事)・元厚生労働省 社会・援護局長
○茶野 順子・笹川平和財団常務理事
○鵜尾 雅隆・日本ファンドレイジング協会代表理事
この日の訪問では、岡田専務理事、大川昌晴事務局長(事業企画担当)芥田真理子企画広報部長(消費生活アドバイザー)の3名とお目にかかることができました。
対話では、3月の審議会で審議し、この度確定した【2025 年度「基本計画」及び「事業計画」】について、法改正を反映して、慎重かつ意欲的に運営に取り組んでいただくようにお願いしました。
また、【2024年度JANPIAの総合評価】については、私が審議会でお願いした【評価過程への職員参加】や、【プログラム・オフィサーの参加】の推進の上で、ガバナンス・コンプライアンスを重視した自己評価をしていただいていることが大切とお話ししました
JANPIAのビジョンは、「誰ひとり取り残さない持続可能な社会作りへの触媒に。】ということであり、2025年度以降はさらに、【取り残された課題も、新たに生まれた課題も解決され続ける社会を目指して】活動の進化・深化を図ろうとされています。
預金は休眠させるのではなく、人々が日々の暮らしに生かしてほしいと思います。
けれども、何らかの事情で休眠を余儀なくされた場合に、社会と地域の公益に活かすという休眠預金活用の新しい制度について、創意工夫し、実践し、日々なる実践の改善をされているJANPIAの皆様の前向きな姿勢を頼もしく感じました。
また、日頃はテレワーク可能な事務局職員の多い中、この日は研修等のために多数の職員の皆様が執務されていましたので、お目にかかることができたのも幸いです。
JANPIAの皆様が、議連の国会議員の皆様、内閣府の職員の皆様、私たち審議会の委員を含む多様な国民・地域活動団体の皆様との密接な対話を通して、休眠預金等活用制度の新しい地平を切り拓いていかれるのではないかとの期待の想いを強くしました。

