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【更に進行する少子化に挑戦する福井県の取組み】からの学び

【更に進行する少子化に挑戦する福井県の取組み】からの学び

2025年6月4日(水)、厚生労働省が毎年まとめる 「人口動態統計月報年計(概数)」が公表されました。
その内容には、2024年1年間に生まれた日本人の子どもの数は【68万6061人】と、前年より【4万1227人】減少し、統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回ったことが厚生労働省の調査で分かりました。
【第二次ベビーブーム(1973年) 】には年間 約209万人 が誕生していました。
約半世紀が過ぎて、出生数は 約3分の1 になったことになります。
さらに、【第一次ベビーブーム(1949年)】の 269万人 と比べれば、いまは 4分の1以下になっています。
【出生率(人口千対)】は5.7で、前年の6.0より低下しています。
出生数を母の年齢(5歳階級)別にみると、全ての階級で減少しています。
また、1人の女性が産む子どもの数の指標となる【合計特殊出生率】は去年1.15となり、前年の1.20を下回り、これまでで最も低くなっています。
都道府県別では 沖縄県が1.54で最も高い一方、東京は0.96と1を割り込みました。
まさに、【少子化】の速度が増していることになります。

ちょうどこのデータが公表されたその日に、合計特殊出生率が【1.46】と、沖縄県に続いて第2位に上昇した福井県の杉本達治知事と、福井県議会の宮本俊議長が内閣府を訪問され、辻清人副大臣に、こども家庭庁に対する【令和8年度政府予算に対する要望書】を提出されました。
私はこども家庭庁参与として同席しました。

【合計特殊出生率】が相対的に高い要因として、杉本知事によれば、福井県は【ゆりかごから巣立ちまで】の切れ目のない支援を実行しているとのことです。
【ふく育応援プロジェクト】として、第2子以降の保育料無償化・在宅育児応援手当制度、多子世帯の高校授業料の減免を開始しています。
【出産・子育て応援】としては、手厚い不妊治療助成(自己負担上限6万円)・男性育休の促進(最大600万円超の企業奨励金)、中学生までの医療費無償化を進めています。
私が注目したのは、【地域全体で子育てを支える環境づくり】です。具体的には、県内店舗で割引等を受けられる「ふく育パスポート」、県内17市町の「全天候型遊び場」整備の支援、家事・育児を支えるキッズ・べビーシッター「ふく育さん」、こども単独や妊産婦の外出を安心サポートする「ふく育タクシー」等です。
これらの実績をもとに、杉本知事は「こども未来戦略」を早期・着実に実施し、経済的支援を含め、こども・子育て政策の更なる強化をと、結婚支援・人口減少地域等での保育士等の持続可能な提供体制を確保する職員配置、男性育児休業取得推進に向けた出生後休業支援給付の長期化等を要請されました。

杉本知事は総務省の自治行政局や自治税務局で活躍されていましたので、三鷹市長であった私にはご縁がありました。
そして、杉本知事は、2015年に設立された26道府県の知事で構成される【日本創生のための将来世代応援知事同盟】のメンバーであり、今年の5月22日には開催県の知事として【ふくい声明~若者・女性に選ばれる「しあわせ」で「楽しい」地方へ~】を発表されています。
その【ふくい声明】で要望された【国に求める姿勢】は以下の通りです。
・国と地方が手を携えて、日本の更なる発展のために、共に歩んでいくこと
・若者・女性の意見を取り入れること
・実効ある人口減少対策に向けた強いリーダーシップを発揮すること
・実質的な国と地方の協議の場を設け、国と地方の役割分担を見直すこと

宮本議長は、都道府県議会議長会の副会長をおつとめの前年度、正副会長が少子化について審議される際、私はこども家庭庁成育局の竹林審議官に同行してお目にかかっています。
その際も、福井県の実情を踏まえてご発言されていましたが、この日も、出生率を高めるためには、その前提となる結婚支援が必要な時代を迎えていることから、自治体による結婚支援について、国による適切な支援を期待すると発言されました。

辻副大臣は、福井県の多様なこども子育て政策に敬意を示されるとともに、国としても期待に応えて、三原大臣とともに更なる司令塔機能の充実をはかりたいとの決意を表明されました。
この日は、福井県健康福祉部の宮下部長、小田副部長(こども未来課)も同席されました。

私は、昨年11月に【福井県市議会議長会研修会】に出張した折、福井県庁を訪問して小田副部長とはお目にかかっていました。
実は、小田副部長のもとで活躍している野村さんが、昨年3月までこども家庭庁に出向していて、【自治体こども計画】について担当されており、私も自治体首長経験者として、その調査研究会に陪席していたご縁があることから訪問したのです。
人口が自然に維持される目安は合計特殊出生率が【2.07】と推計されています。
そして、【1.5】を切ると急激な人口減少リスクが指摘されています。
現在、日本では沖縄県のみが【1.5】を超えており、第2位の福井県は【1.46】と頑張っていただいています。
福井県の多様できめ細かいこども子育て支援策を学びつつ、こどもを産みたい人がこどもを産める社会にしていくための気運醸成が不可欠との想いを強くしました。

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