【いじめ】を予防し、【いじめ】からこどもたちの命を守るために、地域全体での取り組みを!
- 2025/10/01
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- いじめ, いじめ重大事態, こども家庭庁, 文部科学省, いじめ防止対策推進法, いじめの防止等のための基本的な方針, 子どもの発達科学研究所
平成25(2013)年9月28日に【いじめ防止対策推進法】が施行され、同年10月11日には、【いじめの防止等のための基本的な方針】が文部科学大臣決定として定められました。
この法律では、学校の設置者及び学校は、以下の場合には【重大事態】として、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うよう求められています。
【重大事態】とは、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき(生命心身財産重大事態)と、いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき(不登校重大事態)とされています。
そして、私は、文部科学省初等中等局及びこども家庭庁支援局が所管する【いじめ防止対策協議会】の委員として、2024年8月に公表された【いじめの重大事態の調査に関するガイドライン】を改訂に参画しました。この会議の事務局は文部科学省初等中等教育局児童生徒課です。
このガイドラインは、重大事態調査を行う各学校の設置者及び学校並びに調査に関わる調査委員等が法や基本方針の趣旨を踏まえつつ、円滑かつ適切に調査を行えるよう、文部科学省において、これまでの重大事態調査の実施状況を踏まえつつ、【いじめ防止対策協議会】での議論を受けて、調査の基本的な進め方や留意事項等をまとめたものです。
しかしながら、同じ年の2024年10月31日に公表された「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」において、令和5(2023)年度のいじめの重大事態の発生件数について、過去最多の1,306件であることが報告されました。
このような状況が継続していることを受けて、2024年11月8日に開催された、こども家庭庁が事務局をつとめる【いじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議】では、【いじめ防止対策の更なる強化について】を打ち出しました。
そして、「いじめ重大事態調査報告書」を活用したいじめの質的分析のための専門家会議による検討が求められているとされました。
この趣旨を踏まえて、【重大事態調査報告書】の分析を行い、分析の結果得られたいじめの端緒・予兆や重大化要因等を各学校の設置者及び学校における未然防止等に活用することを目的として、【いじめの重大化要因等の分析・検討会議】が開催されることになり、私は構成員及び座長に指名されました。
この会議の事務局は、こども家庭庁支援局総務課です。
この会議の構成員は以下の通りです。(50音順:敬称略)
・新井 肇:関西外国語大学外国語学部教授
・石川悦子:こども教育宝仙大学教授
・清原慶子:杏林大学客員教授・前三鷹市長
・栗山博史:弁護士(神奈川県弁護士会所属)
・澤田真由美:株式会社先生の幸せ研究所代表取締役
・野澤和弘:植草学園大学副学長(教授)・(一社)スローコミュニケーション代表
・村宮汐莉: 地域・教育コーディネーター(3月まで静岡大学学生)
また、【分析実務担当事業者】は、公益社団法人子どもの発達科学研究所の和久田学所長、大須賀優子副所長及び研究員の皆様です。
【こども家庭庁・文部科学省】からは、毎回、下記のメンバーが出席しました。(敬称略)
水田 功:こども家庭庁長官官房審議官
小野雄大:こども家庭庁支援局総務課長
星 匡哉:こども家庭庁支援局総務課企画官
千々岩良英:文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
総崎由希:文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室長
本検討会議は、構成員が会議室とオンラインで参加するハイブリッド方式で行われました。
また、会議内容を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益を害するおそれ、また率直な意見交換が損なわれるおそれがあるため、非公開で実施されました。
ただ、会議終了後速やかに議事要旨を作成し、公開しています。
さらに、分析・検討結果及び具体的対応策については、個人を特定できないよう配慮した上で公表することとしています。
この会議では、【いじめ重大事態に関する調査】に基づき、上記の7名の構成員による活発な意見交換が毎回行われました。
会議において、構成員の皆様はそれぞれ何回も発言し、相互に切磋琢磨しながら検討を深めました。
当事者の児童生徒に最も年齢の近い最年少の村宮構成員はじめ、いじめ重大事態調査に関わったご経験のある方を含む有識者の皆様は、意見交換の過程を通して、いじめ未然防止のための留意事項について、現場感覚に即したものになるように誠心誠意、取り組んでくださいました。
私は大学教員としてのみならず、市長経験者として、地元小学校でスクールサーポーターをしている経験者として、また、小学生の祖母としてなどの多角的な知見を総動員して、座長の役割に取組みました。
この間、構成員の私たちは、何よりも【いじめによる重大事態】の発生を防ぎたいとの気持ちで一致しています。
会議において確認されたことの一つは、学校や教育委員会等における日常的な取組と、いじめの問題に気付いたときの初動がいかに大切か、ということです。
そこで、こどもの話を丁寧に聴くことをはじめとした、生徒指導の基本的な取組を取り上げながら、いじめを防止するための留意事項を検討して、提案することにしました。
そして、留意事項とは別に、いじめの防止や重大化予防に向けて日頃から全ての学校・学級において意識していただきたい視点も提案することにしました。
教職員の皆様には、日ごろのご努力を基礎に、こどもたちを守るために、日常的ないじめへの対応や学級経営の在り方やこどもたちとの向き合い方を顧みるとともに、教職員が課題を一人で抱え込むことなく、チームで対応していくといういじめ対応の基本に立ち返るきっかけを得ていただきたいとの共通の思いを強くしました。
もちろん、いじめ対策は学校だけで対応する問題ではないことも確認しました。
【社会総がかりでいじめの防止に取り組む】という基本的な考え方に立って、学校だけでなく、保護者、国、自治体、こどもをめぐる関係機関、地域住民などの関係者が連携し、信頼関係を築き、【こどもをまんなか】に据えて取り組んでいくことが何より重要です。
そうなのです。地域において、こどもを中心に、関係者が当事者意識を持って、一丸となって対応していくことが望まれます。
そこで、こどもたちと、こどもに関わる大人の皆様に向けての、いじめの防止・重大化予防のために必要な視点や行動についてのメッセージも検討しました。
会議の初回は2025年1月に開催され、最終回となる9月30日の第9回会議では、私は座長として、構成員の皆様と本検討会議の成果物としての【いじめの重大化を防ぐための留意事項集(案)】及び【いじめの重大化を防ぐための研修用事例集(案)】を審議しました。
第9回の会議でのご意見を踏まえて、今後、可能な限り速やかに、座長として事務局とともに(案)の内容を精査し【いじめの重大化を防ぐための留意事項集案)】及び【いじめの重大化を防ぐための研修用事例集】の公表に向けて努力していきたいと思います。
そして今朝、早速、実践をしようと思い、ちょうど鷹南園三鷹市立東台小学校のスクールサポーターとして読み聞かせの機会があったことから、和久田学・作、イモカワユウとイモカワチヒロ・絵による絵本【いじめ、みちゃった】を読みました。
こどもたちは、読み終わると、【ぜったいに、いじめなんかしないよ】と言ってくれました。
清原慶子 Official Website
