休眠預金を活用している【一般社団法人ローランズプラス】を訪問
私は、先日、内閣府休眠預金等活用審議会の新旧委員及び専門委員向けの【休眠預金サマーセミナー2025】に参加しました。
午前中の第1部では、JANPIA事業全体のこれまでの進捗状況の報告、資金分配団体の活動を経由し活動支援団体の事業にも向き合う3団体によるトークセッションが実施されました。
そして、午後の第2部は【現地見学&意見交換会】として、休眠預金を活用している2件の実行団体を訪問しました。
訪問先の1つ【一般社団法人ローランズプラス】は、2022年度通常枠(ソーシャルビジネス支援事業)の助成を受けて、現在も事業を実施中です。
事業名は【障害者が活躍できる地域循環型ファームパーク構築事業〜障害者が地域経済に参画することで、新しい社会包摂モデルを構築する~】です。
資金分配団体は【株式会社トラストバンク】で、【地域特産品及びサービス開発を通じた、 地域事業者によるソーシャルビジネス形成の支援事業】の枠で実行団体を選定しているとのことです。
そして、その実行団体の1つである【一般社団法人ローランズプラス】は、障害のある方の就労機会の創出に向けて、生花販売等の事業において、生産から店舗での販売までの複数の拠点での就労機会を生み出すなどの事業モデルを構築しています。
事業所は6カ所ありますが、この日に訪問したのは品川区の天王洲アイル店及び作業場です。
まず、代表でフローリストの福寿満希さんのご説明を伺いました。
福寿さんは、就労意欲を持った障害者を支援する取り組みの整備は進んでいるものの、【障害者雇用促進法】が定める【法定雇用率】を達成できている企業は半数以下に留まっており、障害者の約86%は未就労の状態にあるのが実情であることに注目されて、この取組を始められたそうです。
特に、地方や中小企業における障害者の雇用率は低い水準に留まっていることから、地域において障害者が就労できる環境を整備していくことが重要であるとの問題意識を持たれました。
そこで、【就労継続支援A型】を中心に、グループ団体【株式会社ローランズ】と連携して、植物を通した事業展開と障害者雇用を進めることで、障がい者にとっては【雇用機会の創出】、企業にとっては【法定雇用率の確保】に役立つモデル、地域にとっては活力あるまちづくりを創出されようとしているのです。
特に、神奈川県横須賀市内で農作物の生産と体験型農業テーマパークの運営を行うことで、主に横須賀市で生活する障害者の就労機会を創出するとともに、地域の流通事業者や福祉事業者、行政機関とのネットワーク形成を進めています。
具体的な連携先としては、地域の特別支援学校、神奈川県を中心に事業展開している流通事業者、横須賀市・神奈川県等の行政機関、福祉施設等を想定している。特に特別支援学校と流通事業者との連携を進めることで、障害者の就労に関する理解の促進、連携体制の構築などとのことです。
事業終了後は、中長期的には横須賀市外にも取組を広げていき、障害者が地域の中で働き・暮らしていける社会を実現していくことを目指すとのことです。
この日、訪問した天王洲アイル店では、障がい者が植物の維持管理や販売に従事されており、勤続期間が長い傾向を担保しているとのことです。
最近は、そうした活動情報についての周知が広がり、求人をするときには多くの志望者が応募され、潜在的なニーズを感じるとともに、 今後のヨコ展開をはかりたいとの思いを強くされています。
ご説明の後、私たちはいくつかのグループに分かれて、当事者のメンバーの方の生の声を伺いました。ある方は、メンターがそれぞれの実情に合った働き方を支援してくれているので、就労を継続できているとのことでした。
ただし、植物に関わる仕事は炎天下での作業もあることから、健康管理に努める必要はあるものの、植物を守り、花壇等の整備をすることを通してとても達成感があると語ってくれました。
私は三鷹市長在任中に、三鷹市牟礼の地主さんのご厚意により四季の草花を育み、市民の皆様の憩いの場となる【花と緑の広場】を開設することができました。
維持管理は、【NPO法人花とみどりのまち三鷹創造協会】にお願いしていましたが、同時に、市内の障がい者施設のご提案で、障がい者の方に時々ボランティアとして花壇の整備等をしていただいていました。
ケアワーカーの方は、障がい者の皆様にとっても、お仲間と植物を育成し、土と触れ合うことは有意義であるとおっしゃっていたことを思い出しました。
この日、福寿さんと当事者の方々の明るく前向きなお話しを伺って、障がい者の皆様にとっても、企業の皆様にとっても、地域の皆様にとっても、有意義なモデルの構築がなされることによって、共生と包摂の未来を展望したいと思いました。
清原慶子 Official Website
