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今、転換期を迎えているテレビ放送に注目を!

今、転換期を迎えているテレビ放送に注目を!

昭和生まれの私は、子ども時代は元祖「テレビっ子」でした。
高校入試や大学入試の受験勉強も、深夜ラジオだけでなく、テレビを見ながらしてしまったくらいです。
元祖「ながら視聴」と言えるかもしれません。

大学でマスコミュニケーション論のゼミを選んだのも、テレビっ子ゆえかもしれません。
そして、その後もメディア学を研究しているとともに、日常生活でニュース、クイズ、ドラマ、歌、スポーツ、バラエティ等幅広く、地上波、BS、CSの衛星放送のテレビ番組を視聴してきました。

東京工科大学メディア学部の教員時代は、ラジオはJ-waveの番組審議委員、CSでは、ミステリーチャネル、MTV(若者向けエンターテインメントブランド)の番組審議会委員を務めていました。
今もテレビ視聴を通して多くの幅広い情報を入手して、文化や娯楽を享受しています。

さて、多メディア時代の21世紀に入り、最近は特に、インターネットの基盤化とスマホ、タブレット等携帯端末の多様化はテレビ視聴の実態を変えています。
視聴率については、これまでは「世帯視聴率」が一般的でしたが、視聴率を調査している株式会社ビデオリサーチは、2年ほど前から、タイムシフトに象徴される視聴の分散化や視聴の個人化に対応して、「タイムシフト視聴率」および「個人視聴率」の全地区導入を実施しています。
すなわち、放送時間にリアルで番組を視聴している時の視聴率だけでなく、7日以内(168時間以内)でのタイムシフト視聴でも視聴率を調査しているのです。

こうしたテレビ放送をめぐる変化の状況を踏まえて、総務省は昨年11月に「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(座長三友仁志教授・ 早稲田大学大学院)を設置して、今年の1月24日まで4回の会議を重ねており、私はその審議に注目しています。

初回の会議では総務省の事務局から「放送の将来像と制度の在り方に関する論点(案)」として、

①デジタル時代における放送の意義・役割
②放送ネットワークインフラの将来像
③放送コンテンツのインターネット配信の在り方
④デジタル時代における放送制度の在り方

の4点が提示されています。

特に②については,金子恭之総務大臣が会議の冒頭の挨拶で、「地上テレビ放送については,地方部において従来の放送ネットワークインフラの維持が困難な状況にあり、早急な対応が必要」であると述べています。

そこで、④については特にローカル局の経営基盤を強化するための施策が課題になります。

この点について、第4回の会議では、

●放送の多元性・多様性・地域性の確保を目指すマスメディア集中排除原則について、インターネットを含め情報空間が 放送以外にも広がる中で、経営の選択肢を増やす観点から見直しを検討すべきではないか。具体的にどのような在り 方が適当かについては、実態把握や放送事業者からの要望も踏まえて検討すべきではないか。
●県域を基本としている放送対象地域について、地域社会の実態等を踏まえつつ、経営の選択肢を増やす観点から、柔 軟化を図ることを検討すべきではないか。
●公共放送におけるインターネット配信の制度的位置付けについて、視聴者のニーズのほか、テレビを保有・視聴しない 者へのリーチ、民主主義の基盤、災害情報等の社会の基本情報の提供、インフォメーションヘルス(情報の健全性)の 確保等といった放送の役割を踏まえて検討すべきではないか。

という3つの論点が提示されています。

NHK放送文化研究所メディア研究部の村上圭子さんが、検討会のこれまでの審議をわかりやすくまとめたブログを発表しています。

村上さんは、検討会の審議の中で重要な論点を

① デジタル情報空間のひずみへの危機意識
② 「多元性・多様性・地域性」再定義の必要性
③ デジタル情報空間におけるNHKの責任
④ 放送ネットワークインフラのブロードバンド代替
⑤ 公共的な情報やコンテンツの提供・ジャーナリズムの維持
⑥ 放送ジャーナリズムと説明責任

という6点に集約しています。

私は、NHKのみならず、すべての放送メディアは、災害や事件を含めて社会や自然を監視し、報道や解説を通して私たちの生命を守る公共的役割を果たしてきていると考えます。
そこで、今後の放送をめぐる実態、制度に関する動きに注目していきたいと考えます。

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