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明日は衆議院議員選挙及び最高裁裁判官国民審査の投票日です。

明日は衆議院議員選挙及び最高裁裁判官国民審査の投票日です。

10月31日は、衆議院議員選挙及び最高裁裁判官国民審査の投票日です。

私は大学教員時代に日本選挙学会会員として選挙に関する研究を学び、アンケート調査等に関わっていました。
そして、1998年には東京都の「投票率向上委員会」委員を務め、文献調査や有識者ヒアリング等を踏まえつつ、当時の投票率の低迷の要因や課題解決に向けた審議に参画しました。

投票率の低迷の要因としては、政治的無力感の増幅や無党派層の増加、投票所に行きにくかったり、投票の判断をする情報の不足などが指摘されていました。
そこで、有権者の立場からは、選挙に関する可視性、透明性を高め、投票しやすくする選挙への親和性を高める必要が確認されました。

そして、有権者が投票に行きやすい環境整備、情報提供の在り方の改善を基礎にしつつ、各政党においては、争点を明確化し、政策立案能力、人材調達能力、政権担当能力等で競い合う選挙を目指すことが提起されました。
また、各候補者においては、生活争点を中心に、誠実さや地域活動の実績で競い合う選挙を目指すことが提起されました。

なお、拡声器に依存しない選挙とする為の公職選挙法についての一定の規制緩和も提起しました。
この点については、最近ようやく選挙期間に於いてインターネットやSNSの利用、マニュフェストの配布等が可能となりましたが、ずいぶん時間がかかったと言えるかもしれません。

そして、選挙に行きやすい環境整備について、私は1999年に日本選挙学会誌に「高齢社会における高齢者・障害者の投票をめぐるアクセシビリティ」と題する論文を投稿し、審査の結果掲載されました。

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アクセシビリティについては、「投票所のアクセシビリティ」、「投票方法のアクセシビリティ」、「情報のアクセシビリティ」に分けて考察しました。
高齢化が進み、高齢者になって視覚、聴覚、心身の障がいに直面する人が増えていく状況を認識する時、そうした障がいがあっても投票しやすい投票所でなければなりません。
車椅子利用者の為に段差がないだけでない、指定された投票所そのものに行きやすい交通や道路のアクセシビリティが確保される必要があります。

投票方法については、原則として指定された投票所に行き、自書することが求められていますが、仕事や旅行などで、選挙期間中、名簿登録地以外の市区町村に滞在している方は、滞在先の市区町村の選挙管理委員会で「不在者投票」ができます。
また、「指定病院等」に入院等している方などは、その施設内で「不在者投票」ができます。
加えて、今回の選挙では「特例郵便等投票」として、新型コロナウイルス感染症で自宅・宿泊療養などされている有権者は市区町村選挙管理委員会に投票用紙を請求すると郵送による投票ができることが案内されています。

投票に関する情報へのアクセシビリティについては、「選挙公報」が中心になっていますが、紙面の制約もあり、決して潤沢とは言えません。
最近では、候補者や政党によるホームページやSNSの利用も可能になっていますが、利用できる端末がなければ入手できません。

こうした状況を踏まえて、私は当時の論文で、選挙や候補者に関する情報の電子化、投票の電子化について、今後は積極的に検討する必要があることを提起しました。
その論文の発表から20年、選挙をめぐるアクセシビリティは少しずつ改善されていますが、今回は特に、緊急事態宣言は解除されているとは言え、新型コロナウイルスの影響がどのように働くかについても注視しなければなりません。

すでに期日前投票をされた方も多いと思います。
10月31日の投票日、国民主権の実現としての投票について、十分な感染予防対策のもとで、お一人おひとりが投票のアクセシビリティが保障され、投票がなされることによって、全体としての投票率の向上が図られることを願いたいと思います。

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