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総務省統計委員会で「公的統計の総合的な品質向上に向けて」(建議案)が可決されました。

総務省統計委員会で「公的統計の総合的な品質向上に向けて」(建議案)が可決されました。

総務省統計委員会に出席し、「公的統計の総合的な品質向上に向けて」(建議案)についての審議に加わり可決されました。
当日はちょうど内閣改造の日で総務大臣も交代とのことで、椿広計委員長は建議を三浦靖大臣政務官に手交したとのことです。
この建議は、私もメンバーの1人であった「公的統計品質向上のための特別検討チーム」の報告書に基づいています。
特別検討チームは、国土交通省の「建設工事統計」の不適正事案を端緒に、公的統計の品質向上策を検討して来ました。

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「建設工事統計」の事案は、「遅延調査票」への対応に関して、従前から「合算集計処 理」を行っていたのですが、推計方法の変更を行った際に二重計上を誘発したこと、その誤りの発見時に社会や統計ユーザーを第一に考えた対応を怠ったこと、適切なデータ保存が行われておらず、遡及訂正の円滑な実施に支障をきたしたというものです。
そこで、特別検討チームでは、各府省が担当する公的統計についての「点検・確認」を踏まえて、公的統計の特性ごとにリスクを下記のように整理しました。

【特性1】性格の異なる多くのステップから形成され、各ステップに様々な立場の者が携わる「総合プロジェクト」となっている。
①統計作成の様々なステップでヒューマンエラーが発生するリスク
②統計作成プロセスの一部を変更する際に、別のプロセスとの不整合を引き起こすリスク
③幹部が全体管理、業務マネジメントや問題発生時のマネジメントを誤るリスク
④職員が認識した問題・問題の可能性があるものが迅速に幹部に報告されないリスク
⑤必要な職員体制や専門性・熟練性を備えた体制を確保できないことに起因するリスク

【特性2】統計は時系列比較による活用が行われることを念頭に、継続的に作成されるため、 統計作成プロセスが一度設定されると、変更することなく継続されやすい。
⑥誤りが継続するとともに時間が経過して遡及訂正が困難となるリスク
⑦社会、環境及び技術の変化に対応した手法のチェック・見直し・改善が行われないリスク

そして、これらのリスクを防ぐために、以下のような今後の取り組みを提起しました。

○総合的品質管理の推進
1 PDCAサイクルの確立/マニュアル整備・共有
2 業務マニュアルに未記載の事態への対応
3 変更管理の取組の導入
4 遅延調査票の取扱いの明確化

○ガバナンスのための組織内外のコミュニケーションの確保
5 誤りの発見・発生時の適切対処の徹底
6 地方公共団体や民間事業者との十分な意思疎通

○デジタル化による人間系ミスの低減と業務プロセスの改善
7 デジタル化の推進

○品質優先の組織風土のための基盤な整備・強化
8 マネジメント能力の向上と職員の人材育成
9 各府省の体制強化
10 中央統計機構の充実と体制強化

さて、この日のハイブリッド会議に、オンラインではなく久しぶりに会議室から参加した私が、建議の取りまとめの節目であるとともに、統計制度担当の吉開正治郎政策統括官、明渡将審議官が近く退任されるのでぜひお二人と一緒に記念写真を撮りましょうと提案して、椿広計統計委員会委員長、特別検討チームの川崎茂座長、津谷典子委員、松村圭一委員、上田聖次長と、集合写真を撮りました。
私はこれまで9回開催された特別検討チームの一員として報告書の取りまとめに参画して来ましたが、その報告書が統計委員会からの総務大臣への建議となることは大変に有意義であると思います。
この総務大臣への建議を踏まえて、今後の公的統計の品質向上の取り組みが各府省一丸となって政府全体で推進されることを信じています。

建議は以下に掲載されています。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/toukei/kaigi/02shingi05_02000574.html

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