木村熊本県知事・髙野熊本県議会議長との出会いと映画【囁きの河】の意義
6月初旬、熊本県の木村敬知事と、熊本県議会の髙野洋介議長が内閣府を訪問され、辻清人副大臣に【こども政策】に関する【国の施策等に関する提案・要望】をされました。
熊本県の下山薫・健康福祉部長、富永隼行・企画振興部長、竹中良障がい者支援課長、飯野彬薬務衛生課長、内藤美恵東京事務所長も同行されました。
私はこども家庭庁参与として同席しました。
木村知事は自治省・総務省につとめられ、鳥取県や熊本県の職員として活躍され、知事にご就任の直前は熊本県副知事をされていました。
熊本県は、木村知事をトップとした【こどもまんなか熊本】推進本部を設置し、こども若者・子育て世代、保育・教育現場で働く当事者・関係者の意見を聴きながら、【こどもまんなか熊本・実現計画】を策定していることから、それを実行するために、3点に絞って国の政策を要望されました。
①こども政策に自治体間の財政格差による格差が生じない方向での支援、②医療的ケア児等支援体制の充実、③障がいのある人やその家族が安心して暮らせる施策の充実(旧優生保護法に関する歴史的資料保存の推進)です。
髙野議長は、こども若者は障がいがあっても、どこに住んでいても、1人ひとりが輝いてほしいと語ります。
熊本県とのこども政策を通じた出逢いがあってまもなく、私は2020年7月に発生した熊本豪雨により球磨川が氾濫し、壊滅的な被害を受けた人吉球磨地域に戻り、過去と現実に向き合う1人の男を主人公とした【囁きの河】という映画の試写会にでかけました。
この映画の脚本・監督が、私の母校の都立富士高等学校の同期生の大木一史さんであるというご縁と、豪雨被害からの復興を描くというテーマに賛同してクラウドファンディングに協力したことから、試写会への招待を受けたのです。
主人公を演じた俳優の中原丈雄さんは、人吉市のご出身とのことで、まさに故郷の復興を願っての演技でした。
地元の旅館の復興を目指す女将に清水美砂さん、その夫に三浦浩一さん、主人公の息子で球磨川くだりの船頭を志す青年を渡辺裕太さん、主人公の隣人の農地の復興を共に図る夫婦を不破万作さんと熊本出身の宮崎美子さんが演じています。
河とともに生きてきた住民は、歴史的に何度も豪雨被害に見舞われ、それを克服してきたのだと思います。この映画からは、河とともに生きるということの喜びと苦しみとの複雑さを感じ取りました。
木村知事は熊本県庁に勤めていた際、熊本地震に遭遇されています。県庁から総務省に戻った後も政府現地対策本部員として被災地の支援にあたったとのことです。
また、総務省消防庁防災課広域応援室長をされていた2020年7月に熊本県内で豪雨が発生した際は、緊急消防援助隊の総指揮を担当されました。
まさに、人吉市球磨川の河ととともに生きる人々に寄り添ったご経験があるのです。
試写会の後、大木監督に少しだけお話を伺いましたが、撮影は2月と6月に分けて行ったそうですが、なかなか青空の日はなくて、曇天を踏まえて急遽脚本を少し変えるなどの対応をした箇所があるそうです。
河は囁くだけでなく、きっと、もっと大きな声で語りたかったのではないかと思います。
私は高校時代、大木さんと同級生になったことはありませんでしたが、共通の友人がいて会話をしていました。
ただ、卒業後は彼は東京大学、私は慶應大学と別れてしまったので疎遠になっていました。
ある日のこと、NHKの朝の連続ドラマ【おしん】を見ていて、演出に大木さんの名前を発見しました。
その後、今度はTBSの【家栽の人】などのドラマの演出で大木さんの名前を発見しました。
ある年、都立富士高校の同期会で大木さん本人に再会して、これらの作品の演出がご本人であることを確認したのです。
【囁きの河】のクラウドファンディングも、一昨年の高校の同期会で大木さんが呼びかけたことに、映画好き・ドラマ好きの私も、他の友人たちと一緒に呼応して協力したものです。
【囁きの河】の試写会でエンドロールを見ていると、【第1回クラウドファンディング】のコーナーの寄付者の名前の中に【清原慶子】を発見して、光栄に思いました。
私は大学教員として広報課長を務めていた際、映画やドラマの舞台にキャンパスの一部を使用していただく担当者を務めました。
三鷹市長在任中には、ロケ地として三鷹市内各所を使用していただく【三鷹フィルムコミッション】を発足していただいたり、映画制作担当の方に市長の役を演じる出演者に向けた市長の仕事などについてのインタビューを受けたことがあります。
そして、その際も、映画やドラマのエンドロールに協力として大学名や三鷹市と明記されたことを思い出しています。
この映画の配給は(株)渋谷プロダクションで、6月26日(木)の人吉市人吉カルチャーパレスを皮切りに、27日(金)から熊本県内で先行上映が開始され、7月11日(金)から、東京の池袋シネマロサ・シネスイッチ銀座をはじめとして、北海道から鹿児島まで、各所での上映が予定されています。ぜひ、この映画を通して、豪雨被害を経ても、河とともに生きる人々の真摯な姿に出会っていただければ幸いです。


