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【レクイエム:津久井やまゆり園障がい者襲撃事件への鎮魂歌】のバレエと合唱を心に刻んで

【レクイエム:津久井やまゆり園障がい者襲撃事件への鎮魂歌】のバレエと合唱を心に刻んで

三鷹市洋舞連盟の前会長・岡本バレエスタジオ主宰の岡本るみ子さんは、NPO法人アンリミテッド知的障害者支援の会の理事長でもあります。
この法人の目的の1つは、アンリミテッド・チャリティー・コンサートを通じて、知的障がい者と健常者との相互の交流を図ることであり、コンサートの収益金は全額知的障がい者施設及び団体に寄付されています。

そして、今年の9月7日午後には、2000年の第1回から重ねて第26回のコンサートが開かれました。
この事業には、三鷹市、三鷹市教育委員会及び社会福祉協議会が後援していることから、私は三鷹市長在任中のコンサートには、ほぼ毎回出席して祝辞を述べさせていただいてきました。
ありがたいことに、岡本さんは私が退任してからも前三鷹市長として招待してくださっているのです。

この日のコンサートの主たるテーマは【レクイエム〜津久井やまゆり園障がい者襲撃事件への鎮魂歌〜】でした。
また、ゲストとして【こどもの城合唱団】が参加されるとのことでしたので、小学校6年生の孫娘と一緒に会場の武蔵野市民文化会館大ホールに向かいました。
JR三鷹駅北口から徒歩20分ほどの道を語り合いながら向かいました。

会場に着くと、お隣の席でお久しぶりにお目にかかった小美濃安弘・武蔵野市長と、初対面の花上喜代志・横浜市議会議員とのお話が弾みました。
その後、開会前にお2人は壇上で来賓を代表して祝辞を述べられました。
小美濃市長は会場のある市長として、花上議員は横浜市に岡本バレエ教室があるご縁から、本コンサートの意義を話されました。
さらに、この日は個人として参加されていた【津久井やまゆり園】の永井清光園長が、壇上に招かれて、バレエ【レクイエム】が生まれた経緯や現在の園の様子などを紹介されました。
その後、私は光栄にも前三鷹市長として紹介していただきましたので、自席から客席いっぱいの皆様に一言のご挨拶させていただきました。

津久井やまゆり園の事件は、 2016年7月26日午前2時過ぎ、神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」の元職員であった加害者が、同施設に刃物を所持して侵入し入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせたものです。
殺人などの罪で逮捕・起訴された加害者は、2020年3月に横浜地方裁判所における裁判員裁判で死刑判決を言い渡され、自ら控訴を取り下げたことで死刑が確定しています。
岡本さんは、津久井やまゆり園を何度も訪問して、お見舞いし、お話をきいて、それをもとにバレエ【レクイエム】を創作されました。
岡本さんの想いはプログラムに次のように書かれています。

【振付・制作への思い】
私は、「やまゆり園」襲撃事件による被害者の方たちの痛み、苦しみ、恐怖、また残された遺族の方々の悲しみ、慟哭を思うと、どのような気持ちで受け止めてよいのか分かりません。
このような残酷な犯罪は私の想像をはるかに超えた悲惨な出来事ですが
そして2度とあってはならないことです。
この作品は被害者の方たちと残された遺族の方々に思いを寄せて、私の気持ちもありのままに作りましたこの
今バレエを通じて私が出来るのはレクイエム・・・だけです。
「どうぞ安らかにお眠りください」

【レクイエム】では、24名の出演者がその事件についてのバレエを踊り、ソロのバレリーナによる祈りの踊りの後に、【こどもの城合唱団】の【アメージンググレイス】の合唱の中、【岡本バレエ出演者】の皆さんが、客席の私たちの祈りと共に献花しました。
第2部では、吉村温子さんの指揮により、小学校1年生から大学生までの約100名の【こどもの城合唱団】の皆さんによる歌と踊りと手話のパフォーマンスがあり、【悲しみの鎮魂の後だからこそ、私たちの生きるパワーが大切】との決意が引き出されました。
さらに、その後は、美しさとユーモアの両方があるバレエコンサートが続きました。

休憩時間に控え室を訪問して、お久しぶりに再会した【こどもの城合唱団】の吉村温子さんのお心遣いで、約100名の合唱団の皆様にこの日のパフォーマンスについて感謝のご挨拶をさせていただき、重ねて元気パワーをいただきました。
幸いにも、永井清光園長とも対話させていただき、「現在は59名の入所者と比較的穏やかな日々を過ごせているけれど、あの日のことを決して忘れることはない」とのことでした。
私も、障がい者の情報バリアフリーなどを課題として調査研究をしてきた研究者の1人として、この事件を心に刻みつつ、引き続き、誰もが基本的人権を保障し合う共生の在り方を考え続けていきたいと思います。

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