エントリー

【こども・若者、困難を抱える人々、被災地支援、地域活性化を支える「休眠預金等活用」の意義】

【こども・若者、困難を抱える人々、被災地支援、地域活性化を支える「休眠預金等活用」の意義】

私は多くの研究会・行政の審議会やボランティア等地域活動の【会議】に参加しています。

コロナ禍を経験して以降は、実際に構成員が対面で行う会議に加えて、オンライン会議や、対面とオンラインのハイブリッドによる会議が増えています。
オンライン会議システムの活用により、移動の時間の負担を越えて広域のメンバーによる会議が推進されてきています。
とはいえ、会議が充実するための大切な要素として、会議前後の会話ができることや、会議中も参加する構成員の言葉だけでは伝わりにくいニュアンスを感じ取りやすい対面の有用性はあると感じています。
また、会議の課題についての意見を実質的にするためには、それと密接な関係のある活動等の地域の現場に出向くことが有意義であると思っています。
そこで、私自身は可能な限り会議室に出向いて、対面で会議に参加するようにするとともに、取り扱われるテーマに関係ある現場を訪問したり関連資料を読むように努めています。

そんな私が今年の8月下旬まで委員を務めていた【内閣府休眠預金等活用審議会】では、新しい審議会の体制がスタートした9月に入って、初めての事業として新旧双方の委員・専門委員が参加する【休眠預金サマーセミナー2025】が開催されました。
セミナーの構成は、午前中の<第1部>では、内幸町の会議室に前会長の高橋進(株式会社日本総合研究所チェアマン・エメリタス)はじめ新旧の委員・専門委員が参集して、休眠預金制度の現状を共有する企画が実施されました。
そして、午後の<第2部>では、休眠預金を活用している団体の現地見学&意見交換会が行われました。
【休眠預金等】とは、10年以上、入出金等の取引がない預金等のことで、各金融機関から預金保険機構に移管された後、毎年度、必要な額が【指定活用団体】に交付されます。
【指定活用団体】としては、2018年1月に【休眠預金等活用法】が全面施行されたことを受け、同法に基づく団体となることを目指して、同年7月に【一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)】により【日本民間公益活動連携機構(JANPIA)】が設立されました。その後、2019年1月に政府からJANPIAが指定活用団体に選定され、同年4月に助成事業が開始されています。

休眠預金については、JANPIAの審査を経て、資金分配団体に分配され、さらに、資金分配団体の審査を経て実行団体に分配されます。
この制度は議員立法による【休眠預金等活用法】に基づき、公的な制度や既存の枠組みの狭間にあり、支援を必要とする領域である①子供及び若者の支援、②日常生活を営む上で困難を有する者の支援、③地域活性化等の支援、における共助の活動に焦点が当てられています。
2023年6月には、私が委員として参画した【5年後の見直し】による法改正に伴い、【出資】の制度や【活動支援団体】への支援というら新しいスキームが導入されています。
こうした経過を経て開催されたサマーセミナーの<第1部>は、会議室に新旧委員・専門委員10名、オンラインで4名の新旧委員・専門委員が参加するハイブリッド方式で開催されました。
また、内閣府から休眠預金担当の幹部職員が5名、JANPIAからは二宮雅也理事長はじめ6名が会議室で参加しました。

冒頭に、内閣府で休眠預金を担当する林幸宏審議官が趣旨説明を行いました。
次に、JANPIAの大川昌晴事務局長によるJANPIA事業全体のこれまでの進捗状況について、主に【総合評価2024】を用いた解説があり、意見交換に入りました。
私は次のように発言し、意見交換の口火を切りました。
すなわち、「JAMPIAの皆様、資金分配団体・実行団体の皆様による前例のない創意工夫によって、【民間公益活動団体】の活動が充実し、事業の拡充や継続が図られてきたことに敬意を表し、感謝します。それとともに、とりわけ各団体に伴走支援するPO(プログラム・オフィサー)に代表される人財育成及びガバナンス・コンプライアンスの向上に一定の成果がみられたからこそ、5年後見直しの際に【出資】や【活動支援団体】への助成という新しい枠組みが提起されたと思います。今後は、私が参画することができた5年後見直しで提起された新規事業を含めた休眠預金制度の実態について、JAMPIAによる自己評価、審議会委員の皆様による検証が行われ、次の5年後見直しに向けた準備が着実に進むことを期待します。」と。

その後、実際に休眠預金を活用した資金分配団体の活動を経験し、今後は活動支援団体の事業にも向き合う3団体によるトークセッションが行われました。
登壇されたのは、【特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ】の三島理恵理事長、【一般財団法人ちくご川コミュニティ―財団】の庄田清人副理事長、【特定非営利活動法人ジャパンプラットフォーム】の藤原航国内事業部長です。
ファシリテーターはJANPIAのPOである福田文さんです。
POとは、研究機関、財団、シンクタンク、NPOなどの組織において、特定のテーマや分野に関する助成プログラムの企画立案、運営管理、および申請者への伴走支援を行う専門職です。
【むすびえ】では、主としてこども食堂を核としたこども・若者支援の取組みを行い、【ちくご川コミュニティ財団】は、貧困・不登校など困難を抱えるこどもや子育て世帯を支援する事業、【ジャパンプラットフォーム】は主として被災地支援や防災・減災の取組みに休眠預金等を活用しています。

そこで、この3団体の実績を共有しながら、休眠預金活用事業での評価の取組、伴走支援などの実績を共有するとともに、特に活動支援団体の必要性について、担い手育成、地域での事業モデルの提起、災害支援の領域での効果と課題などについての報告を踏まえた質疑応答・意見交換が行われました。
三島さんも、庄田さんも、藤原さんも、全く新規の【休眠預金等活用制度】と出会い、その制度の現実社会の課題解決に向けてた活動に対して着実に有意義な支援が行えるように、文字通り【試行錯誤】の取組みを重ねてこられています。
この日は、各団体が、特に伴走支援におけるPOの養成・研修や、管理運営におけるガバナンス、コンプライアンスを高めつつ、地域における民間公益活動の使命を果たす過程は、決して容易ではなかったことがわかる率直な経過を報告してくださいました。

その報告を踏まえた新旧委員・専門委員による意見交換で、さらに、実践に基づくこの制度の効果や課題発見・課題解決に関する考察が深められました。
その後昼食を共に摂り、JANPIAの事務所を訪問した後、バスに乗って午後の現地視察に向かいました。
現地視察については、別の機会に報告します。

ユーティリティ

記事検索Entry Search

Search
キーワード

過去ログArchives

RSS Feed