実写版【秒速5センチメートル】を鑑賞して
- 2025/10/14
- 日記・コラム
- 新海誠, 秒速5センチメートル, 松村北斗, 高畑充希, 山崎まさよし.米津玄師
0月13日(月)の【スポーツの日】に、私は小学校6年生の孫娘と一緒に、10日に公開されたばかりの、新海誠監督による2007年公開の劇場アニメーション【秒速5センチメートル】を、「SixTONES(6人組アイドルグループ)」の松村北斗さん、高畑充希さん主演、監督奥田由之さん、脚本鈴木史子さんで実写映画化した【秒速5センチメートル(東宝・フジテレビジョン・】を鑑賞しました。
私は、三鷹市長在任中の2016年11月19日、「第7回三鷹コミュニティシネマ映画祭」が三鷹産業プラザの特設会場で開催され、後援の三鷹市を代表して会場を訪問し、新海誠監督にお目にかかり、トークショーを拝聴したことがあります。
同日には、【新海誠監督特集】として『君の名は。』の公開を契機に、それまでの作品である『星を追う子ども』『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』の4作品が上映されました。
【三鷹コミュニティシネマ映画祭】は、三鷹市にかつてあった名画座・三鷹オスカーのような映画館を復活させたいという思いの市民ボランティア有志と、映像文化で街を活性化させたい三鷹市の第三セクターである(株)まちづくり三鷹が、実行委員会形式で2010年から開催している映画祭でした。
2014年11月の「第5回三鷹コミュニティシネマ映画祭」では、高畑勲監督がトークショーに登壇され、「火垂るの墓」「かぐや姫の物語」を上映しました。
これらのトークショーはとても有意義で、懐かしい記憶です。
この日、新海監督をお招きしたトークショーの聞き手をつとめられたには、市内にある【国立天文台天文情報センター】広報普及員の内藤誠一郎さんでした。
新海監督はトークショーで、『君の名は。』と三鷹市のご縁を紹介されました。
それは、三鷹の喫茶店で、『君の名は。』の作画監督をされた安藤雅司さんに映画製作への参加のご依頼をされたということでした。
また、新海監督は、自身の映画作りの本質を「ラブレターみたいな気持ち」と表現されました。
そして、新海監督の映画の中のモチーフに【手紙】が多いのは、映画そのものが手紙だと思って作っているからとも話されたと記憶しています。
さらに、新海監督は、【愛していた人と会えなくなってしまう】というモチーフが多くあることにも触れられと記憶しています。
そこで、私は【秒速5センチメートル】は、まさに、文通をしていた初恋の人に突然会えなくなってしまって、その後も結局会えないままというお話であり、ここに、新海監督のメッセージが詰まっていると受け止めます。
映画のストーリーの詳細は、ネタバレになるので、避けなければいけませんが、アニメーションでストーリーは多くの方に知られていますので、少しだけ紹介します。
1991年春、東京の小学校で出会った遠野貴樹と篠原明里は、転校経験のある者同士で心を通わせます。
その時、明里から、「桜の散る速度は【秒速5センチメートル】」ということが、語られます。
けれども、、卒業とともに明里は転居してしまいます。
そして、中学生の冬、今度は種子島と思われる島に転居することになった貴樹が、吹雪の夜に明里の転居先の栃木・岩舟に向かいますが、雪で到着はとても遅くなります。
そこで再会を果たした2人は、雪の中に立つ桜の木の下で、2009年3月26日に同じ場所で再会することを約束します。
高校時代の貴樹は、ロケットが発射される島で過ごし、同級生の澄田花苗との交流が描かれます、
時は流れ、東京でシステムエンジニアとして働く貴樹は30歳を前にして、退職してプラネタリウムのプログラミングを担当することになります。
明里は、新宿の紀伊国屋書店で働いていて、当時の思い出とともに生きていて、本を届けたプラネタリウムで、貴樹の案内を聴くことになりますが、2人が会うことはありませんでした。
しかも、貴樹は2009年3月26日に、約束の場所に行くのですが、雪の中に咲く桜の花が、彼の孤独に寄り添うようでした。
2016年、新海監督が語った、「手紙」「文通」の意味、【愛していた人と会えなくなってしまう】ことが描かれています。
そして、会えないままに生きていくことを支える【桜】【雪】【空】【ビルディング】【街並み】【踏切】【無人駅】などの自然や建物の存在が、美しさと醜さ、心の気高さ・強さと弱さを感じさせます。
小学校6年生の孫娘は、この映画で、三鷹市の小学4年生が校外学習で行く【多摩六都館(西東京市)】が映画に登場したプラネタリウムのロケ地であったことに親しみを感じたようです。
私は、時々でかける新宿の紀伊国屋書店が重要な場所として登場することに親近感を持ちました。
これは、私の印象にすぎませんが、劇場アニメーション【秒速5センチメートル】は【言葉】が少なく映像が心に残っていますが、実写映画は、相対的に会話の中の【言葉】が心に残りました。
【言葉】と言えば、映画では、その館長が「人は5万個以上の【言葉】と出会うそうです。その中から一言残すとしたら、何を選びますか?」との問いかけに、来館者が付箋でいろいろな言葉を書いて貼っていました。
さて、私は、どの言葉を残したいのでしょう。
愛・平和・・・・・・・・・
劇中歌の山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」の歌詞
「いつでも捜しているよ どっかに君の姿を・・・・・・」
主題歌の米津玄師さんの「1991」の歌詞
「雪のようにひらりひらり落ちる桜 君のいない人生を耐えられるだろうか・・・・・」も心に響きます。
私はハッピーエンドが好きなタイプなので、この映画のような、そうではない結末は、実は辛いのですが、だからこそ、感じたことがあります。
人は1人ではなかなか生きるのが辛いのですが、主人公の貴樹は、今は1人であっても、大切な愛の経験があるからこそ、それが決して今の自分のもとにはなくなっていたとしても、その愛の経験はしっかりと真正面を向いて生きていくチカラになっているのではないかと。
清原慶子 Official Website
