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【津久井やまゆり園を訪問し鎮魂の祈りを捧げ、現在の入所者の方と出会いました】

【津久井やまゆり園を訪問し鎮魂の祈りを捧げ、現在の入所者の方と出会いました】

今年の9月7日、三鷹市内の【NPO法人アンリミテッド知的障害者支援の会】26回のチャリティコンサートで、バレエ指導者である岡本るみ子理事長の振付・制作で上演された【レクイエム〜津久井やまゆり園障がい者襲撃事件への鎮魂歌〜】を鑑賞しました。

神奈川県立の知的障害者福祉施設【津久井やまゆり園】では、2016年7月26日午前2時過ぎ、元職員であった加害者が、同施設に刃物を所持して侵入し入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた事件が発生しました。
殺人などの罪で逮捕・起訴された加害者は、2020年3月に横浜地方裁判所における裁判員裁判で死刑判決を言い渡され、自ら控訴を取り下げたことで死刑が確定しています。
岡本理事長は、津久井やまゆり園を何度も訪問して、お見舞いし、お話をきいて、それをもとにバレエ【レクイエム】を創作されました。
そのご縁で、2023年9月15日には津久井やまゆり園での「敬老の祝い」で、バレエダンサーの皆様を連れてお祝いのバレエで奉仕されています。
チャリティコンサートの【レクイエム】では、24名の出演者がその事件についてのバレエを踊りました。

私は会場で、【津久井やまゆり園】の指定管理者である社会福祉法人かながわ共同会の永井清光園長とも対話させていただき、今回、視察させていただくことになりました。
そのことを報告したところ、岡本理事長も同じ日に、レクイエムを踊られた後藤慶祐さん、金沢教室からこられた指導者のお1人の德山華代さんはじめダンサーの方とご一緒に訪問されることになりました。

午後1時過ぎに到着して、すぐに、玄関前の広場にある鎮魂の【水鏡】に向かいました。これは水を張ると空が映るデザインとなっていて、底面には、【神奈川県ともに生きる社会かながわ憲章】と書家の金澤翔子さんによる【ともに生きる】の題字が刻まれています。
ご遺族の想いを反映して、水鏡のまわりからは【19本の水】が流れ落ちています。
献花台にはやまゆりの花の絵が彫り込まれています。
26日の月命日に水を入れて偲ぶことにされているとのことですが、今日は、私たちの訪問に合わせて特別に水を入れてくださっていました。

德山さんが持参された花を手向けて、訪問者が心を合わせて哀悼の想いをこめました。
その近くに設置されているご遺族による犠牲者を偲ぶ【鎮魂の碑~心 ともに生きる〜】には次のように書かれています。
「幸せな日常や何気ない日常がありました
やさしい心、あたたかい命を、私たちは決してわすれることはありません。
2016年7月26日、午前1時43分頃、津久井やまゆり園において、極めて差別的かつ身勝手な理由で障がいのある利用者19人が殺害され、24人が重軽傷を負う事件が発生し、私たち家族はこの突然の出来事で愛する大切な命を奪われてしまいました。
この碑の前の皆さん、
このようなとても悲しい事件を、もう二度と起こしてはなりません。
命を奪われた19人を忘れないでください。
助け合う社会のすばらしさ、大切さを、もう一度考えてみてください。
誰にでも優しく、誰もが安心して心穏やかに過ごせる社会になることを、心から皆さんとともに願います。
19の御霊が安らかに眠れますように  2021年7月26日 遺族有志 」

永井園長から、【津久井やまゆり園】は事件後仮園舎に移転し、現在の園舎は2021年7月に開所式を迎えて、現在は58名の入所者がいるほか、短期入所者を受け入れていること、この間に「意思決定支援」を本格的に開始していることなどを教えていただきました。
園の運営方針は、【本人の望む暮らしの実現・職員が楽しく働くことができる職場づくり・地域に愛され選ばれる施設】とのことです。

その後、診療所を含む施設内を視察しました。
ちょうど午後の作業の時間で、入所者の皆様お1人おひとりの個性に合わせた作業の様子を見学し、一部の入所者の方と対話しました。
園庭は広く、入所者の皆様も清掃や美化に取組んでいること、田園調布学園大学との連携・交流もあり庭園の草花も美しく整備されています。
週末にハロウィンの行事を控えて、園内の随所にその雰囲気も溢れていました。
そして、何よりも職員の皆様も、入所者お1人おひとりの個性に合わせて支援されている様子がよくわかりました。
永井園長とのゆったりとした対話と施設内の見学を通して、知的障がい者支援施設の実際を少しは理解できたように思います。
人は1人ひとり持っている基本的人権を保障されなければなりません。

1人ひとりの命を尊重されなければなりません。
この事件を契機に2016年10月14日制定された【ともに生きる社会かながわ憲章】は、次のことを発信しています。
「一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます」

【津久井やまゆり園】の日常が、穏やかでありますことを心から願い、再訪の日を願いつつ、地域に開かれた門を出ました。

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