【社会教育】「人」こそが未来を創る ―【社会教育人材養成ワーキンググループ】への陪席報告―
私が部会長をつとめている文部科学省生涯学習審議会社会教育の在り方に関する特別部会に新たに設置された【社会教育主事・社会教育士養成等の改善・充実に関するワーキンググループ」(第2回)に陪席しました。
●議論の「羅針盤」 ―牧野副部会長からの提起―
会議の冒頭では、オブザーバーとして参加された牧野篤(社会教育の在り方に関する特別部会副部会長/大正大学教授)先生より、本ワーキンググループでの議論の方向性を示す、重要な提起がありました。
その要点は、本ワーキンググループではこれまでの審議を踏まえて、社会教育人材養成の実質化に注力してほしいというものです。
現行の『第4期教育振興基本計画』において、【社会教育】は従来の「学校教育以外の領域」あるいはその補完という位置づけから脱却し、【人々のつながりを作り出し、ウェルビーイングを向上させる社会基盤(インフラ)】へと再定義される時期を迎えていること、それに伴い、担い手への期待も明確化されている現状が紹介されました。
この間、【社会教育主事(行政職)】は多様な分野をつなぎ、地域社会全体を牽引する【地域全体の学びのオーガナイザー】であり、【社会教育士(称号)】は自身の専門分野で社会教育的手法を活かす【専門性を様々な場に活かす学びのオーガナイザー】とされています。
そこで、牧野先生の問題提起を踏まえて、委員の皆様の間では、特に期待されている【新しい役割・オーガナイザー】を担える人材をどう養成するか、養成の中身についての具体的議論の重要性が改めて確認されました。
このワーキンググループの使命については、設置要綱において、この「オーガナイザー」としての資質・能力を育むために、具体的にどのような養成プログラムが必要なのかについて、主に以下の点について審議が行われることが規定されています。
すなわち【主な審議事項】として、①社会教育主事・社会教育士に求められる資質・能力の具体化、②養成課程(大学等)及び講習(現職向け)のカリキュラムや指導方法の改善、③デジタルバッジの活用など、学習履歴の可視化と質の保証、などです。
この難題に取り組んでいただく委員の皆様は、研究者から現場の最前線で活躍する実践者まで、多士済々な次の顔ぶれです。(敬称略・五十音順)
・主査:青山 鉄兵(文教大学人間科学部 准教授)
・井口 啓太郎(国立市教育委員会 公民館館長補佐・生涯学習課課長補佐/社会教育主事)
・岡 幸江(九州大学人間環境学研究院 教授)
・坂口 緑(明治学院大学社会学部 教授)
・志々田 まなみ(国立教育政策研究所 総括研究官/社会教育調査官)
・長岡 広之(北海道教育庁生涯学習推進局社会教育課 課長補佐)
・水野 敬一朗(千葉県教育庁教育振興部生涯学習課 副主査/社会教育士)
第2回の会議では、委員の皆様に加え、現場の実情に詳しいゲストの方々からの報告がありました。
全国社会教育職員養成研究連絡協議会より、井上大樹・代表理事、大村恵・副代表理事が出席され、現場の視点から、【対人援助職】の性格を持つ【社会教育職員の専門性の重視】及び【実践(実習)と省察のサイクルを基盤にしたカリキュラムの探求】についての報告がありました。
宇都宮大学の若園雄志郎教授からは、大学における【社会教育主事講習の現状と課題】について具体的なお話がありました。
特に、国の委託費による実施から、栃木県・茨城県の教育委員会からの委嘱による講習へと移行した経緯や、そこで見えてきた課題についての報告は、今後の制度設計を考える上で非常に示唆に富むものでした。
青山主査のリーダーシップのもと、報告についての質疑応答や意見交換では、現場のリアリティを踏まえた活発な議論が交わされました。
さて、私は現在、中央教育審議会の生涯学習分科会長、そして社会教育の在り方に関する特別部会の部会長を務めています。
今回は、この重要なワーキンググループの委員をお引き受けくださった皆様へ、直接感謝をお伝えしたいという思いから陪席させていただきました。
会議の途中では、青山主査のご高配により、ご挨拶の時間をいただきました。
私は、社会教育を推進していくうえで、何よりも重要なのは【専門性をもった人財】の存在であること、現代社会において、社会教育職員に求められる資質や能力は変化し続けているからこそ、その養成の在り方についても、時代や地域社会の要請に基づいて検討し、適切な人材を確保していく必要があること、本ワーキンググループにおいて、理論と養成の実践の両面に基づいた建設的な検討が行われることへの大きな期待を申し上げました。
【社会教育人財】【社会教育的な人財】なくして、【地域づくり】はないと思います。
新しい時代の【地域コミュニティの基盤としての社会教育】を支える【人財】をどう養成するかについては、このワーキンググループでの議論が、日本の社会教育を次なるステージへと押し上げてくれるのではないかと確信しています。
とはいえ、【人財育成】は一朝一夕には成し得ませんが、社会教育の未来を照らす灯は、こうした地道な議論と実践の中にこそあると感じています。
引き続き、ワーキンググループでの議論を注視し、部会長として応援してまいります
清原慶子 Official Website
