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政府が公立小学校1学級あたりの児童数上限を引き下げる方針を固めました。

政府が公立小学校1学級あたりの児童数上限を引き下げる方針を固めました。

政府は、公立小学校1学級あたりの児童数の上限を現行の40人から35人に引き下げ、2021年度から5年間かけて移行する方針を固めたとの報道がありました。

私が委員を務めている文部科学省中央教育審議会では、初等中等教育分科会において、「新しい時代の初等中等教育の在り方」についての諮問に応えて、「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」を設置して検討を重ねてきました。

私は、初等中等教育分科会及び特別部会の委員として、審議に参画してきました。
現在は、答申をまとめているプロセスですが、検討中の答申素案のタイトルは、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申素案) 」です。
そして、その主たる提案は、GIGAスクール の充実、小学校高学年からの教科担任制の導入、少人数学級です。

1人1台タブレットの普及とデジタル教科書の充実によるGIGAスクール構想の具体化を進め、小学校高学年からの算数、理科や英語などの教科担任制の最適化を通して、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」を果たす為には、少人数学級は必要です。
しかも、今年は新型コロナウイルス感染症対策の必要性から、「3密」を回避する為にも、学級の少人数化が求められています。

そこで、文部科学省は来年度予算の概算要求に少人数学級を含めており、そのことが財務省との調整で実現したことになります。
1980年度に1学級あたり40人以下が規定され、2011年度に小学校1年のみ35人以下に規定されて以降、久しぶりの引き下げになります。

さて、今回の答申素案では、幼児教育、9年間を見通した義務教育、高等学校教育、特別支援教育、外国人児童生徒の教育や遠隔・オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について提案するとともに、「新時代の学びを支える環境整備について」人口動態等を踏まえた学校運営や学校施設の在り方について」「Society5.0時代における教師及び教職員組織の在り方について」も提案しています。

少人数学級を最適に実現する為には、相対的に児童数が多い都市部では教室数の増加に対応する必要があります。
また、最近は教員志望者が全国的に減少傾向にある中、都市部であれ、中山間地であれ、過疎地であれ、質の高い教員の人数の確保は共通の課題です。
そこで、私は12月4日開催の初等中等教育分科会において、答申素案に書かれている「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」を目指して、ICTを活用し、少人数学級を活かした授業を実現していくためには、大学・大学院の教員養成課程のカリキュラム改革や質の高い教員の人数の確保が不可欠であることから、教員養成に関しては今後の課題として継続的に検討してほしいと提案しました。

このたび、政府の少人数学級の方針が固まったことを歓迎するとともに、その実現の為には学校施設や教員養成、研修の充実と教員数の確保のための施策の充実を伴う推進体制の構築が必要であることから、真に児童本位の教育の質が向上するような少人数学級実現のために、適切な教室環境や教員の確保などの条件整備の向上も期待したいと思います。

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