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読売新聞東京本社取締役・論説委員長の老川祥一さんを訪問しました。

読売新聞東京本社取締役・論説委員長の老川祥一さんを訪問しました。

先日、読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理で、読売新聞東京本社取締役・論説委員長の老川祥一さんを訪問しました。

老川さんと私は今年の5月迄の3期9年間 内閣官房「郵政民営化委員会」の委員をご一緒に務めていました。
9年間のうち、昨春からの1年余りはコロナ禍にあり、多くの会議がオンラインで開催され、4月22日開催の委員全員が任期最後の会議もオンラインで開かれました。
この会議では内閣総理大臣に提出する『郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見』が確認される会議でした。

このように、節目の会議に委員の皆様とは対面でお目にかかれず残念に思っていた私は、委員の皆様にはお便りやメールでご挨拶したわけです。
すると、老川様はお便りとともに『政治家の責任 政治・官僚・メディアを考える』(藤原書店・2021年3月刊)という近著を送ってくださいました。

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そこで、私は老川さんを訪問して、ご著書についてお話を伺ったのです。
老川さんは昭和40年代、1970年代から長年にわたり政治部記者として国内外で取材経験を重ねてきた経験から、「政治の責任」が見失われつつあるのではないかとの想いを抱かれて、今こそ「政治家の責任」について自身の知識と経験に基づいて書いておきたいと思われたそうです。

まえがきでは、
「政治家の権力は、彼らを選んだ国民から託され、国民のために使われるもの、というのは民主政治のイロハだが、その原理についての自覚と責任感が失われると、権力の座は我が身を滅ぼす落とし穴に変わる。それを防ぐには、不断の緊張と自己抑制の努力、それに側近たちの率直な忠言が必要なのだが、指導者本人も側近たちも権力を楽しむようになったら、破滅の危機はもうそこにある」と書いています。
「政治家の責任ーー。国家と国民を背負って行動する、というその自覚と責任感の希薄化が、近年の政治の混迷の根底にあるように思える」と続きます。

老川さんは内閣府「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」の座長のご経験から、第3章は「国家の基盤としての公文書」であり、新聞メディアのご経験から第6章は「言論とメディアの責任」についても書いています。
そして、「次は是非この本も読んでください」と、9年前に刊行された『政治家の胸中』(藤原書店・2012年9月刊)をいただきました。
この本はタイトル通り、政治記者であり、「番記者」の老川さんならではの政治指導者のエピソードが満載です。
岸信介、佐藤栄作、田中角栄、福田赳夫、そして小泉純一郎氏までの約40年にわたり、記者として官邸はじめ国内外の各所で政治指導者の身近にいて、聞き、ある時は聞き出した肉声が書き残されています。
報道で知るのとはまた異なる歴代総理大臣の人柄や決断のスタイルが興味深い内容です。

本書は、東日本大震災直後の激動する政治状況にあって、戦後政治史のうちの40年余の政治指導者たちの言動を伝えるために書かれました。
老川さんは、過去を振り返ることで現在の政治の問題点を確かめ、未来のありようを考えてほしいと思い本書を執筆しました。
老川さんは政治記者だからこそ、政治指導者の身近にいることができて、取材仲間とともに表面的な事実にとどまることのない真実につながる事実関係を確認しながら記事にしてきました。

そして、本書には、記事にはできなかったけれども、見聞することができた政治指導者の本音や悩む姿が書かれていて、大変に興味深く読みました。

表紙は佐藤栄作総理大臣の番記者だった頃の総理と老川さんの写真です。

私は、三鷹市長として市議会の皆様との二元代表制の中で自治体行政の責任をとった経験があります。
老川さんのご著書は、主として国政を対象にしていますが、国民・市民の信託を受けて行政の責任をとるという点は共通していると思います。
老川さんが二つの著書で警鐘を鳴らされているように、当選したからといって、あるいは大臣や首長という行政の責任者に選ばれたからといって、自分のビジョンやイメージをただ強引に実現するのが政治家の求められる姿ではないのです。
大きな視点に立ちつつも、国民・市民の真情を汲み取り、生活の実情に寄り添い、その声を傾聴し、反映する努力は、選挙で選ばれた「政治家の責任」の大切な一つであると受け止めています。

さて、実は老川さんは読売巨人軍の第7代目オーナーでしたので、応接室には、東京2020オリンピックで長嶋茂雄さん、王貞治さんと聖火ランナーを務められた松井秀喜選手はじめ、メジャーリーグが日本で試合をした際の大リーガーのサイン入りボールやバットなどが飾られていました。

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