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卒業式を控える6年生を対象に『詩』の朗読をしました

卒業式を控える6年生を対象に『詩』の朗読をしました

2月に入りました。
幼い頃、亡母が私にこう話しました。
「語呂合わせで言うと、1月は『行く』、2月は『逃げる』、3月は『去る』と言って、他の月より時間が過ぎるのが早く感じられるのよ。学校に通うこどもたちには3学期、学年末であるし、役所や会社では年度末で忙しいせいかしら。だから、時間を大切にしましょうね」と。
確かに、今年も気がつけば2月に入りました。
時間を大切にしたいと改めて思います。

1月の終わりに、私はスクール・ボランティアをしている三鷹市立東台小学校の6年生のあるクラスで、読み聞かせのボランティアをしました。
1月から時間割の時刻が変更になり、読み聞かせの時間は今までの15分から10分に短縮されました。
そこで、その日は、あえて絵本を選ばず、6年生に知っていてほしいいくつかの詩を選んで朗読することにしました。

6年の児童は、整然と座って私を待っていてくれました。まず、金子みすずさんの『私と小鳥と鈴と』を読むと、最後の「みんなちがって、みんないい」のところで、児童はうなづきながら聴いてくれました。
次に読んだ、まどみちおさんの『ぼくが ここに』でも、最後の
「どんなものが どんなところにいるときにも その『いること』こそが なににもまして すばらしいこととして」
を聴いて、目を見開くこどもたちの眼差しが私に刺さりました。
そして、中原中也『汚れちまった悲しみに・・・』と高村光太郎『レモン哀歌』を朗読した後、最後に読んだのが、谷川俊太郎さんの『卒業式』です。
小学校最高学年の6年生は、3月の卒業を控えています。
そこで、ぜひこの詩を聴いてほしいと選びました。


卒業式    谷川俊太郎
ひろげたままじゃ持ちにくいから
きみはそれをまるめてしまう
まるめただけじゃつまらないから
きみはそれをのぞいてみる
小さな丸い穴の向こう
笑っているいじめっ子
知らんかおの女の子
光っている先生のはげあたま
まわっている春の太陽
そしてそれらのもっとむこう
きみは見る
星雲のようにこんとんとして
しかもまぶしいもの
教科書には決してのっていず
蛍の光で照らしても
窓の雪ですかしてみても
正体をあらわさない
そのくせきみをどこまでも
いざなうもの
卒業証書の望遠鏡でのぞく
きみの未来

私は「いじめっ子にはいじめることを卒業してほしいし、知らんかおの女の子には、できれば笑顔で振り向いてほしいですね」と思わず言ってしまいました。
読み終わって感想を聴くと、
ある女子児童は、大きな声で抑揚をつけて読んでくれたので聞きやすかったと言ってくれました。
ほっとしました。
また、ある男子児童は、「ほとんど知らない詩だったけれど、『卒業式』は特に心に響きました。」と言ってくれました。
別の男子児童は、「ぼくも卒業証書をもらったらまるめて未来をのぞいてみたい」とニコッとしました。
この頃の卒業証書はファイルに入っているものもあるので、東台小学校の卒業証書の形を担任の先生に伺いますと、卒業証書はまるめられる形式とのことです。
そして、担任の先生は時々児童と詩の演唱をされているとのことでした。
以心伝心で、詩を選択してよかったと思いました。

スクールボランティアは卒業式には出られないと思いますので、その場で児童の皆さんに、まもなく迎える卒業を祝福しました。
今年のこのクラスでは、卒業式に、ひょっとしたら卒業証書をまるめてのぞく児童が多いかもしれません。
のぞいて見えた未来に向かって、颯爽と歩んで行ってほしいと心から願います。

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