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総務省統計委員会の調査研究で兵庫県加古川市役所を訪ねました

総務省統計委員会の調査研究で兵庫県加古川市役所を訪ねました

私は三鷹市長在任中から現在まで、国勢調査をはじめとする公的統計について審議する総務省統計委員会の委員を務めています。
そして、統計委員会では、近年の公的統計におけるデータニーズの多様化・複雑化に対応するため、医療、教育、所得等を統合した個人の状況を総合的に把握する統計の必要性や、特に現在国内外で政策の理念として共通に適されている国民・住民のウェルビーイング【Well-being】 に代表される主観指標の必要性が提起されています。
そこで、統計委員会では今年度、国内外の統計調査の取組みやその活用事例などを調査して、今後のデータ整備に関する課題やその対応方法についての調査を行っています。

その一環として、私は総務省統計委員会担当室政策企画調査官の篠崎公昭さん、同主査の藤原彦次郎さんと一緒に、本テーマに関するヒアリング調査を担当することとなり、その一環として、兵庫県加古川市役所を訪問しました。
対応してくださったのは、岡田康裕市長、藤田耕平企画部政策企画課長、杉野賢司政策企画課副課長兼スマートシティ推進担当副課長、澤田浩作政策推進係長、蔭山大輔スマートシティ推進担当係長、澤田将一政策推進係の皆様です。
岡田市長は米国公認会計士の資格を持つ経営コンサルタントで、衆議院議員のご経験があり、現在市長として3期目の任期をつとめていらっしゃいます。
この間、公開事業評価の導入などの行政改革を進められています。

令和5年度の施政方針では「幸福感の向上をめざす」として“市民一人一人の幸福感の向上”を位置付けています。
2021年12月から市民意識調査で【デジタル田園都市国家構想】においてウェルビーイングの計測指標となるLWCI (Livable Well-Being City Indicator)を市民意識調査に導入し、市民一人ひとりの幸福感の向上に相関性の高い因子や各分野の市民満足度等を分析し、施策の不断の見直しをめざされています。
加古川市は人口が256,931人、109,079世帯が住む、一級河川加古川の河口部に位置し、播磨地域の工場地帯の一部を構成し、神戸・大阪・姫路に短時間でアクセス可能な総面積138.48平方㎞の市です(2023年4月1日現在)。
『棋士のまち加古川』とも言われていて、将棋のプロ棋士が7人いらっしゃるそうです。とてもユニークな市の魅力です。

岡田市長は、基礎自治体である加古川市では、分野ごとの目標、分野横断的な目標が乱立していることに気付きました。そして、「そもそも我々は最終的に何を目指しているのか?」という課題を認識しました。
そして、2021年度に策定した『加古川市総合計画』において、将来の都市像を「夢と希望を描き、幸せを実感できるまち加古川」としました。
市政運営の理念を「市民が感じる幸福度の向上を」としたのです。市民の幸福感の向上に寄与する様々な要素を見極めつつ、公共政策を通じて寄与できるであろう領域に対して具体的な取り組みを展開することにしたのです。
そこで、重要になってくるのは「幸福感やそれに関係する構成要素を定量的に評価できるかどうか」でした。
加古川市ではこれまで、47項目の市民満足度や重要度の調査を継続していましたが、幸福度について評価するために、国のデジタル田園都市国家構想において、めざす「心ゆたかな暮らし(WELL-Being)と「持続可能な環境・社会・経済(Sustainability)の実現に向けた取り組みの指標LWCI (Livable Well-Being City Indicator)を市民意識調査の導入を決断したのです。
その調査の結果を分析すると、ウェルビーイングと相関係数が高い分野として、「健康状態」「地域とのつながり」「文化・芸術」が浮き彫りになってきたそうです。
そこで、今後、アンケート項目やサンプル数を改善することで、『幸福感の向上の為に何田より大切なのか』を見極めることができると考察し、各施策・事業を進める際の評価指標としてウェルビーイング指標の導入の有効性を確認したとのことです。

そして、重要な検討過程として、加古川市では、市民の幸福度の向上を図る為には、まずは職員の条件整備が大切という事で、OASIS研修を受講していることです。
これは、Well-Beingの概念や指標の測定方法を理解し、主観・客観の両データを活用することで、市民の幸福感や暮らしやすさの実感を高めるための政策をデザインできる人材を育成する研修です。
当日いただいた2024年1月号の「広報かこがわ」の新春座談会は、岡田康裕市長、小林直樹市議会議長と、一般社団法人スマートシティ・インスティテユート専務理事の南雲岳彦さんによる「幸せを実感できるまちづくり」です。
この中で、南雲さんは「自分たちのまちのウェルビーイング指標があれば、どうすればまち全体の幸せを高められるのかがわかりやすくなります。ウェルビーイング指標は人々にとっての「心の羅針盤」のようなものだと思っています」と語り、さらに「指標があれば取り組みが本来の意図と違う方向に進んでしまうことを避けられます」とも語っています。
小林議長は、「ウェルビーイング指標を取り入れて毎年調べていけば、幸せに寄与する要因が見えてきそうですね。結果を見ながら年代や地域などに合わせたさまざまな政策ができそうです」と話し、「市民の皆様が幸せだと思えるまちづくりのために、市長には多角的に政策に取組んでいただきたいです」と話しています。
岡田市長は「自分が暮らしているまちに誇りを持てることは、幸せを感じることに直結するのではないでしょうか」、そして、「ウェルビーイング指標を参考にしながら、中長期的にどんなまちにしていきたいかを明確にし、取り組みを進めていきます」と表明しています。
ヒアリングでは、市政のプロセスにおける市民参加についても伺い、私が三鷹市長在任中に進めた無作為抽出の市民の皆様の討議会「みたかまちづくりディスカッション」などについて紹介しました。

加古川市の市民の皆様のウェルビーイング の充実に向けて、岡田市長を中心に、市民参加と協働、そして職員参加による取り組みの進展を期待いたします。

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