こどもの自殺予防などについて意見交換された【こども政策に関する国と地方の協議の場】
こども政策担当大臣と地方三団体の会長及びこども政策担当首長による【こども政策に関する国と地方の協議の場】の今年度第1回の会議がハイブリッドで開催されました。こども家庭庁の会議室には村井全国知事会長と都竹全国市長会社会文教委員長が出席され、私はこども家庭庁参与として出席しました。
主な参加者は以下の通りです。
〇全国知事会:村井嘉浩宮城県知事(全国知事会長)、岸本織江滋賀県副知事(子ども・子育て政策推進本部長代理)
〇全国市長会:松井一實広島県広島市長(全国市長会長)、都竹淳也岐阜県飛騨市長(社会文教委員会委員長)
〇全国町村会:古口達也栃木県茂木町長(行政委員会委員長代理)
〇国:三原じゅん子内閣府特命担当大臣、辻󠄀清人内閣府副大臣、友納理緒内閣府大臣政務官、金城泰邦文部科学大臣政務官、鰐淵洋子厚生労働副大臣、こども家庭庁:渡辺長官・中村長官官房長・各局の局長・審議官、総務課長等。
今回は3つのテーマについて、こども家庭庁の担当者から課題や政策の概要について説明をしたのち、地方三団体及び国の出席者で1時間半にわたる意見交換が行われました。
①「こどもまんなか実行計画」は、国が策定するこどもに関する計画であり、2025年度は「こども未来戦略加速化プラン」の本格実施の年であり、こども・子育て施策の拡充策を実行に移す年であることから、自治体との対話に基づく策定が望まれます。
三原大臣からは、特に困難に直面するこども・若者への支援、質の高い育ちの環境の提供、少子化対策などをしっかり進めていきたいと共に、その際にはこども・若者の意見をこれまで以上にしっかりと聴き、EBPMや丁寧な情報発信を推進しながら、こども施策のバージョンアップを図りたいとの決意が表明されました。
中原・長官官房参事官の説明の後、自治体からは、個別施策の着実な実行のために、さらにきめ細かい自治体との対話の必要性が提起されるとともに、特に最近の物価高や人財不足の深刻な状況などへの理解と対応が求められました。
②「こどもの自殺対策」については、昨年の小中高生の年間自殺者数500人を超える過去最多となったことを踏まえての具体的な意見交換が行われました。
三原大臣はこの数の多さは痛恨の極みと話し、先月、県としてこどもの自殺対策に取り組んでいる長野県の生徒・学校関係者から、抱える不安や悩み、それらの相談対応などを聴いたことを紹介されました。
現在、「自殺対策基本法」の改正法案が国会で議論されてお、改正案にはこどもの自殺対策として自治体との連携に関する事項が盛り込まれていることもあり、国では、都道府県・政令指定都市に「こども・若者の自殺危機対応チーム」の設置等を国からも10/10の補助で推進しようとしています。
山下・支援局総務課長の説明の後、村井知事からは「自死」の用語の使用の意義が、都竹市長からはこどもの自殺の適切な要因分析の必要性が指摘され、松井市長からは「被爆自治体の市長としても生命の大切さをしっかりと伝えていくことの必要性」が提起されました。このテーマについては比較的多くの時間を割いた意見交換が行われ、こどもの自殺は、様々な要因が関係することもあり、「自殺未遂」の事例についても丁寧に分析することが大切との認識も共有され、こどもたちの命を守る取組みの難しさとともに強化の必要性が確認されました。
③「こども・若者の居場所づくり」については、2023年12月に「こどもの居場所づくりに関する指針」が閣議決定されています。
安里・成育局成育環境課長による、学童期のこどもの居場所については、昨年12月に「放課後児童対策パッケージ2025」を策定し、放課後児童クラブの受け皿整備等を推進しているなどの説明の後、村井知事、都竹市長から、特に小学生の「朝の居場所の確保が重要」との問題提起がありました。これは、三原大臣が冒頭の挨拶で、重視しているとされたもので、共働き世帯の更なる増加が見込まれる中、国としても、自治体としても、「朝の居場所」への対応が共通課題であることが認識されました。
私は「こどもの自殺」の課題と、家庭・学校以外の「こどもの居場所」の必要性は密接に関連していると思います。
閉会後に、弁護士・看護師である友納大臣政務官と都竹市長が、時間内には十分語り合えなかった想いを対話されています。
このように、こども政策に関する国と地方の協議の場における、国と地方三団体の皆様の日常的な地域の現場での実践を踏まえた意見交換が行われることは、こども政策の実効性を高めていく上で欠かせない機会であることを、改めて強く感じました。


