【こども誰でも通園制度情報交換2025】に参加しました。
【こども誰でも通園制度】とは、全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、0歳6カ月から3歳未満のこどもについて、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付です。
2025年度に、【子ども・子育て支援法】に基づく【地域子ども・子育て支援事業】として制度化され、2026年度からは同法に基づく【新たな給付】として全国の自治体において実施されることになっています。
そこで、5月に、こども家庭庁成育局保育政策課では、本制度の現場である自治体の担当者の皆様の情報交換の機会を設定しました。
こども家庭庁の会議室での参加と、オンラインでの参加によるハイブリッド方式で開催されました。
私は、こども家庭庁参与であるとともに、【こども誰でも通園制度の制度化、本格実施に向けた検討会】の構成員として、この情報交換会に参加し、自治体の皆様の声を傾聴しました。
事務局によれば、当日参加したのは1015自治体で、申込者数は1871名、会議室で対面参加した自治体参加者は44名でした。
まず、事務局の保育政策課の出口課長補佐がこの【情報交換会の趣旨】を次の3点に集約して説明しました。
●自治体担当者間の横の連携を図り、制度実施に向けた連携強化を図っていく
●事例を共有し合い、本格実施に向けた情報共有の場を作る
●自治体担当者と、こども家庭庁担当者のつながりの場を作る
そして、【本日のお約束】として次の5点を説明し、共有しました。
① 議論ではなく、ヒントを得て
② 傾聴し、いいね
③ 正解は、ない
④ 発言は、顔出しで
⑤ 主役は、自治体担当者の皆様
その後、北海道札幌市:こども未来部こども支援課】梅村課長・八幡係長、千葉県松戸市:子ども部子ども保育課柳原さん、斎藤さんほかの担当者の皆様から、両市の【こども誰でも通園制度】に関する実践が報告されました。
具体的には、計画、条例策定、事業認可、意見聴取、要項等の作成、市民・議会への説明、総合支援システムの運営、予算、人事、広報等の項目について説明がありました。
そして、約80分間にわたって、取手市、古河市、金沢市、神戸市、刈谷市、多摩市、つくば市、大津市、北九州市、船橋市、長浜市、品川区、美里町、京都市など、多くの市町から両市に質問がありました。
給食、広報の在り方、総合支援システムの運用の在り方、人事の在り方、一時保育との棲み分けの在り方、一般型と余裕活用型の比率、児童発達支援センターの対応の実態、利用者の特徴、事業者への浸透の工夫、利用者情報の管理の方法、需要と供給のバランス、幼稚園の取組みの在り方などなどです。
これらは、【誰でも通園制度】の実践において重要な課題であり、札幌市・松戸市の皆様は率直に丁寧に回答してくださいました。
そこで、関連質問が喚起されて、80分の時間を短く感じるほど、熱心で、充実した情報交換が展開されました。
最後に挨拶の機会をいただいた私は、実践報告をされた札幌市・松戸市の皆様のご報告と質疑への回答に、まず、深く感謝しました。
また、両市の取組みを踏まえて、【こども誰でも通園制度】の実践に取り組んでくださっている現場の自治体の皆様だからこその重要かつ具体的な質問の提起に感謝しました。
そして、改めて【こども誰でも通園制度】の理念を紹介しました。
本制度は、これまでの【保育制度】が保護者の就労を要件としてきたところ、『こども基本法』の理念である【こどもまんなか】の理念に基づくとともに、社会全体でこどもの育ちと子育てを支えるための制度として構想されています。
毎月一定時間については、保護者の就労要件を問わずに利用可能の制度であり、良質な成育環境を全てのこどもに保障しようとするものです。
こどもの視点に立つとき、こどもの育ちに適した環境、家庭とは異なる経験、家族以外の人と関わる機会は有意義です。
こどもにとっては専門人材のみならず、同じ年頃のこどもたちとの様々な経験が有効であり、社会情緒的な発達への効果的な影響など成長発達に資する豊かな経験とともに、保護者とこどもの関係性への効果も指摘されています。
この日は、本制度の本格化・制度化に向けて、1700余りある自治体のうち、1000を超す自治体の皆様が参加してくださったのです。
会の終了後、会場参加のメンバーは、その後1時間以上も会議室に残り、個別に情報交換を重ねていたとのことです。
このことは、新しい制度に魂を入れて、真に【こどもまんなかの保育制度】にしていくための、自治体の皆様とこども家庭庁の連携による、地に足のついた創意工夫の努力の表れではないかと思います。
この情報交換会は、今回で終わりではありません。
保育政策課の【誰でも通園制度】担当メンバーは、今後も間をあけずに、さらに充実した情報交換の機会を作っていきたいとの熱い想いを持っています。


