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【一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)のフォーラム2025】に参加して

【一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)のフォーラム2025】に参加して

私が理事を務めている一般財団法人全国地域情報化推進協会(APPLIC)のフォーラム2025(後援:情報通信月間推進協議会)に参加しました。

当日は以下の3件の講演がありました。
(1)デジタル行財政改革の取組:内閣官房デジタル行財政改革会議事務局次長 吉田 宏平さん
(2)感染症・災害対策のための個人情報の利活用:電気通信大学大学院情報理工学研究科教授 山本 佳世子さん
(3)自治体DXの取組-デジタル人材:豊田市CDO補佐官・㈱USEN WORK WELL 代表取締役社長 住谷猛さん

吉田次長は、急激な人口減少・少子高齢化・生産年齢人口の見通しなどのデータに基づいて、都市部では、生産年齢人口の減少が限定的な一方、高齢者人口の増加が著しく、急増する高齢者に対応した公共サービスの構築が急務である一方で、地方部では生産年齢人口・高齢者人口ともに加速度的に減少し、コミュニティの存続に懸念があることを指摘しました。
そして、自治体の職員数は業務の効率化等によりピーク時から減少しており、デジタル化による更なる業務効率化担当職員が3名以下の自治体が55%であり、自治体職員のみならず公共サービスの担い手不足が顕在化することを課題として提起しています。

こうした状況下、国の【デジタル行財政改革の基本的方針】は、急激な人口減少社会に対応するため、利用者起点で行財政のあり方を見直し、デジタルを最大限に活用して、地域を支える公共サービス等のシステムの統一・共通化等で現場負担を減らし、サービスの質の向上をはかることであることなどを紹介しました。

山本教授は、①感染症対策における個人情報の利活用、②災害対策における個人情報の利活用、③個人情報についての感染症対策と災害対策の比較について、「ポスト・コロナの働き方・住まい方について」のアンケート調査をもとに、個人情報のうち位置情報は個人に非常に密着した情報であるが,情報を提供したいという意見は微少であるところ、感染症対策でも、災害対策でも、人流をつかむ位置情報は「命の情報」であり、匿名化を図りつつ、活用する可能性を高めることの必要性を提起されました。

住谷社長は、特に企業の人事部門でキャリアを築かれ、現在のU-NEXT HOLDINGSに入社後も、人事・総務部門担当役員や法人営業部門担当役員などを歴任され、CISO、情報システム、DX推進、生成AI推進、広報、コーポレートブランディング、サステナビリティなどを兼務されて、2024年9月より現職に就任されたとのことです。
実践事例として、2021年1月からは新潟県長岡市と協定を締結し、「長岡で暮らしながら、首都圏の大手IT企業やグローバル企業で働く」という「NAGAOKA WORKER」という新しいワークモデルの構築により、地方都市での若年層の就業機会を創出されています。
2024年4月からは愛知県豊田市CDO補佐官としてDX、特に自治体における生成AIの活用について適切な活用を目指して推進されています。

私は、住谷さんが支援されている長岡市の磯田市長、豊田市の太田市長と、三鷹市長在任中に交流があり、お2人の自治体経営に学ばせていただいていたことから、住谷さんに、2件の質問をしました。
(1)少子化については地方における特に女性の大都市への流出が課題になる中「NAGAOKA WORKER」のようなワークスタイルのヨコ展開についてどう考えていますか?
(2)自治体でAIが活用されることで、市長や議員の役割はどう変わるのでしょうか?
住谷さんは、女性が地方都市を離れて大都市に行く理由の1つは「音楽・スポーツ・演劇・芸術」等の「コミュニティ」があるからであり、地方に働く場所の整備だけでなく、大都市の魅力のような「若者による地域コミュニティ」の創出が必要であるとの認識を語られました。
そして、AIがどんなに普及しても、【判断】は人間がするものであり、市長、議会の必要性は変わらないと回答されました。

私は、住谷さんがそのように回答してくださったことに感謝を込めて「だからこそ、【判断】する責務を果たす市長を、有権者が選ぶという【判断】が引き続き大切ですね」と申しました。
企業での活用経験を踏まえて、AIを含む自治体DXを支援する住谷さんから、自治体行政における市長・議会の【判断】が重要というキーワードをいただいたことを、大変に有意義と考えます。

さて、APPLICの事務局長と常務理事を合わせて9年以上にわたり務められた松村浩さんが6月をもって退任され、7月より元・総務省信越総合通信局長である田口幸信さんが就任されます。
そこで、この日、吉田理事長、田口さんとともに、松村常務理事の長年にわたるご貢献に感謝しました。

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