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結婚を望む人を支える【本庄流!結婚支援】の取組みからの学び

結婚を望む人を支える【本庄流!結婚支援】の取組みからの学び

先日、こども家庭庁で、(社福)本庄市社会福祉協議会が大学研究者との協働で進めている【本庄流!結婚支援】についてご報告をいただき、意見交換する機会がありました。
来庁されたのは、本庄市社会福祉協議会からは、会長である吉田信解市長、内田圭三事務局長、倉林千恵子係長です。
そして、協働している大学研究者としてリーダーの明治学院大学の鬼頭美江教授、広島修道大学の西村太志教授、広島大学大学院の相馬敏彦教授、立正大学の山田順子助教が来訪され、パリ第一大学パンテオン・ソルボン人口学博士課程の甲斐さんです。
康輝さんがオンラインで参加しました。
こども家庭庁からは長官官房総合政策担当の中原参事官、橋爪・少子化担当室長、吉村・地方連携推進室長と私です。

まず、本庄市の結婚支援の取組みを担当されている倉林係長から【本庄流!結婚支援~効果的な結婚支援策の探求~】について、報告していただきました。
本庄市の社会福祉協議会では「SAITAMA出会いサポートセンター本庄」を運営し、これまでに3,000人を超える結婚を希望する独身者の想いに寄り添いながら、出会いの場づくりや個別相談など、カウンセラーとしてだけでなく、結婚支援コーディネーターとしても、さまざまな活動を行っているとのことです。
そして、単なるマッチングにとどまらず、人生の大きな節目に向き合う支援として、独身者の想いに寄り添った、温かく丁寧なサポートを心がけているそうです。
1980年開始の民生委員による「結婚相談」事業を前身として、2018年に埼玉県の公的な結婚支援「SAITAMA出会いサポートセンター」事業が開始され、埼玉県北部地域の拠点として「SAITAMA出会いサポートセンター本庄」が開設されました。そして2022年に民生委員の事業は終了となりました。
これは【結婚を誠実に希望する独身男女に出会いの機会を提供する埼玉県の公的な結婚支援サービス】であり、本庄市の特徴は、日本では数少ない恋愛や結婚を専門とする対人関係研究者による結婚支援研究チームとの【出会い・結婚に関する連携協定】を締結して協働して、支援していることです。

具体的には以下のような協働の取組みが進められています。
1.科学的根拠に基づいたイベント企画⇒心理学など、よりエビデンスベースのイベントを企画立案
2.イベント前後に研究者による講義や心理的サポート⇒イベント内での行動やイベント後の婚活に関する助言
3.マッチングだけでない独自性の高い取り組みの実施⇒イベントでの出会いの機会をより効果的に活用
4.イベント後の経過調査⇒イベント時のマッチングで終わるのではなく、真剣交際に発展しやすいイベントを検討
そして、本庄市の結婚支援と協働している5名の研究者から、【結婚支援における課題および本庄市社会福祉協議会と研究者との協働内容】について報告がありました。
まず、コロナ禍を経て、オンラインの出逢いが増えている現状にあって、研究調査に基づいて【オンラインとイベントとのハイブリッドの出会いの場の創出の重要性】を提起されました。
そして、【イベント構成に関する研究成果・取り組み】としては、A)相性が良いと思う相手との出会い創出、B)中間フィードバックによる好奇心向上、C)Meet & Greet(ミーグリ)カード(連絡先を交換しても良い相手との相互選択}の効果、D)婚活イベントにおける事後講義の重要性、などが報告されました。

そして、結婚支援事業の参加者の【継続的な参加に向けた試み】として、A)行政の行う恋愛・結婚支援への信頼の高さ、B)婚活イベントへの不参加理由(自信のなさ)の改善、C)マッチング成功の原因探しとその効果、
【今後の効果的な結婚支援に向けて】は、A)地域に合わせた結婚支援、B)性別に合わせた結婚支援、C)結婚への意欲を高める社会的醸成が提起されました。
こうした実践を通して、研究者の立場からは、国に対して、①研究者との協働による,エビデンスに基づいた支援の探求、②研究で得られた知見の発信や取り組みを支援する仕組みの構築などの必要性が提起されました。

まとめとして、本庄市の社会福祉協議会では、独身者を対象とした【行政に期待していること】に関する調査では、【結婚を希望する人を応援する社会的気運醸成】が約半数であったことから、以下のような【本庄モデル】を目指しているとのことです。
1.公的支援センターとしての安心感と、専門家による信頼性のさらなる強化
2.婚活に参加しやすい環境づくり
3.交際・成婚に発展しやすい施策の充実
4.婚活へのポジティブなイメージの醸成と若年層参加の促進
5.高品質な婚活イベントの継続と進化
6.科学的根拠に基づく持続可能な婚活支援モデルの開発

吉田市長は、「本庄市の結婚支援の特徴について、第1に、市が行うのではなく社会福祉協議会が行っていること、第2に、心理学を専門とする研究者との協働による支援対象の心理に寄り添う事業の企画・運営・検証等を行っていることです。そして、今日紹介した取組みの利用者は本庄市民にとどまらず近隣自治体の住民の皆様にも広がっています。そこで、第一義的には本庄市を含む埼玉県の住民の皆様への支援の取組みと言えますが、いわゆる本庄モデルを参考にしていただいて、全国の結婚支援の取組みに役立てていただきたい」と語ります。
少子化が進行する中にあって、全国の自治体では、まずは、結婚を望む人を支援していく必要があるとの認識が深まっています。
思春期の若者にとって、自身のライフデザインを考えるときに、職業を中心とする経済的自立のみでなく、結婚・出産や育児を含む生活全体をを考える機会が重要です。
そして、自分が愛する人との出逢いを求めること、結婚を考えること、結婚相手を求めたいと思って活動することが、普通にできる社会の気運醸成が大切であることを確認しました。
そして、自治体の結婚支援を支える研究者の皆様の真摯な姿勢に出会えたことは大変に心強いことでした。

【本庄流!結婚支援】のヨコ展開を期待します。

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