【国民の義務】である【国勢調査】に回答を、けれども、【国勢調査】を騙る悪質なメール等には回答しないでください
総務省第9期【統計委員会】の最後の委員会に出席しました。
議題として、2件の答申案、部会の審議状況についてなど、7件の議案が審議され、それぞれ可決、了承されました。
私は、部会の審議状況についてのうち、【統計制度部会】と【デジタル部会】について、部会長として報告しました。
【デジタル部会】は、2023年10月にスタートした今期初めて設置された部会であり、私は初代部会長として委員の皆様や総務省の事務局の皆様と手探りで審議を進めてきました。
そして、この間の7回の会議を踏まえて、【第9期統計委員会デジタル部会の審議内容の整理・取りまとめ~デジタル社会における統計の在り方の探求~】をとりまとめることができました。
部会では、公的統計のデジタル分野全般に関わる幅広い内容を対象にしつつも、今期は主として【デジタル経済・社会の統計的把握】及び【統計作成のデジタル化】を柱に審議しました。
とりまとめとしては、それぞれについての【既存の取組み】及び【中長期的な展望】について報告しました。
さらに、【今後の部会審議に向けて】として、【DXと生成AIに着目した検討】や【デジタル化を経済以外の分野についても広く捉えた検討も踏まえ、継続的な調査研究等を議論、統計委員会の他の部会や関係府省庁とも連携】することを提案しました。
私の報告の後で、福田慎一委員(東京大学大学院経済学研究科教授)から問題提起がありました。
その趣旨は、現在実施されている【国勢調査】をめぐって【フィッシングメール(偽のメールを使って個人情報であるパスワード、クレジットカード情報、銀行口座情報などを盗み取ろうとする手口)】が発生していることなど、デジタル化による影の部分についての検討も必要であるとの課題提起です。
私は、デジタル部会でも、生成AIなどの新しいい技術について検討する過程などで、いわゆる【デジタル技術の光と影】に注目した経過もあり、デジタル部会として検討する必要がある課題の1つであるとの認識をお答えしました。
加えて、永島勝利統計局長が、総務省としてもそうした動向には注視して積極的に注意を喚起しているところであり、今後も適切に対応していきたいとの意向を発言されました。
さて、統計委員会の会議がもっぱら開催されるのは総務省第二本庁舎で、新宿区若松にあります。
この庁舎には【令和7年度国勢調査実施本部】があることから、庁舎の正面玄関には大きな木の看板が設置されています。
職員に伺いますと、この木の看板は、代々国勢調査実施本部の看板として使用されてきたものであるとのことで、前回の文字をカンナで削って消して、新たに今回の本部の文字を記載しているそうです。
【国勢調査】は、一般に統計に関心や関係のない方々にも知られている公的調査の代表的なもので、【国内の人及び世帯の実態を把握し、各種行政施策その他の基礎資料を得ること】を目的とする調査です。
第1回調査は大正9(1920)年に行われ、その後5年おきに実施されてきて、令和7(2025)年調査は22回目に当たります。
国勢調査は、人口・世帯の実態を明らかにする国のもっとも重要な統計調査です。
【令和7年国勢調査】は、令和7年10月1日午前零時現在によって実施することになっていますが、すでに、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島、島根県隠岐郡隠岐の島町にある竹島を除く全国の世帯に調査票が配布されています。
調査の対象は、調査時において、日本国内に【常住している者】について行うことになっています。
【常住している者】」とは、当該住居に3か月以上にわたって住んでいるか、又は住むことになっている者をいい、3か月以上にわたって住んでいる住居又は住むことになっている住居のない者は、調査時現在いた場所に【常住している者】とみなされます。
調査対象者は必ずしもその住居のある自治体に住民登録をしている人に限りませんので、自治体では住民基本台帳に登録されている人口と、国勢調査の人口とに差が生じることがあります。
また、外国人も調査の対象としていますが、【外国政府の外交使節団・領事機関の構成員(随員を含む。)及びその家族】及び【外国軍隊の軍人・軍属及びその家族】は調査から除外されているとのことです。
何よりも、私たちが認識しなければいけないのは、【統計法】第13条には、【調査の対象となる世帯の世帯主又は世帯員】には、調査票に掲げる事項について報告することが義務として定められていることです。
【国勢調査】に回答することは国民の義務の1つなのです。
我が家は2世帯で住んでいますので、先日、2件の調査票が届きました。
私は国民としての義務を世帯主として果たすために、届いてすぐに調査票に記されていたQRコードをスマートフォンで読み込んで、調査に記入をしました。
わかりやすい説明書があることから、1問1問説明書を読みながら慎重に記入しましたが、私の場合は5分程度で記入できました。
前回もオンラインで回答しましたが、回答のシステムに工夫がされていて、今回の方が記入しやすかったように思います。
そして、同居している家族も、世帯主が回答しました。
【令和7年国勢調査】の調査項目は次に掲げる17項目です。
●世帯員に関する事項
①氏名 ②男女の別 ③出生の年月 ④世帯主との続き柄 ⑤配偶の関係 ⑥国籍 ⑦現在の住居における居住期間 ⑧5年前の住居の所在地 ⑨就業状態 ⑩所属の事業所の名称及び事業の種類 ⑪仕事の種類 ⑫従業上の地位 ⑬従業地又は通学地
●世帯に関する事項
①世帯の種類②世帯員の数③住居の種類④住宅の建て方
【令和7年国勢調査】は、国の総務省統計局〜都道府県~市町村〜国勢調査指導員〜国勢調査員の流れにより行われています。
各市区町村の調査員は、担当する地域の全ての世帯を訪問し、調査書類一式を配します。
従来は、調査員がその調査票を配布するだけでなく回収していましたが、この間の3回ほどの国勢調査では、調査員が回収する以外に、私が行ったように【オンライン回答】や【郵送提出】及び【調査員へ直接提出】のいずれかの方法により回答が行えます。
私が市長在任中には、調査員の方の研修会の際に、協力していただく感謝を述べに行ったことがあります。
なぜなら、私が市長在任中には、共働きが増加傾向にあり、調査票の配布や回収の際に留守の場合が増えてきていたり、高齢者の1人暮らしのお宅の場合、特殊詐欺増加の背景を受けて来客には慎重な傾向が顕著となっていました。
また、集合住宅の場合は警備が強化され、入館が難しい事例が増えていることから、管理組合や管理人さんの協力を得る必要があり、その交渉に時間がかかるといった状況がありました。
同時に、調査の対象者である市民の方からは、調査員の方に守秘義務があるとはいえ、自分の世帯のことはあまり人には知られたくないので、ぜひ調査員を介さずにオンラインで回答できるようにしてほしいとの声も届いていました。
ところが、統計委員会で福田委員が提起されましたように、オンラインの利便性の影として、フィッシングメールの増加が不安をもたらしていることも事実です。
総務省統計局が運営している【国勢調査オンライン】を開きますと、【お知らせ】の最初に書かれているのが【国勢調査をよそおった詐欺や不審な調査にご注意ください】という項目があり、以下のように警告しています。
●国勢調査では、金銭を要求することはありません。また、銀行口座の暗証番号やクレジットカード番号をお聞きすることもありません。
●国勢調査をよそおった不審な訪問者や、不審な電話・電子メール・ウェブサイトなどにご注意ください。不審に思った際には、速やかにお住まいの市区町村にお知らせください。
●調査員は、その身分を証明する「国勢調査員証」を携帯しています。一部の地域では、調査員業務を「建物を管理する事業者等」に委託しており、「国勢調査業務委託証明書」を携帯しています。
皆様、国民の義務としての【国勢調査】に回答しましょう。
けれども、【国勢調査】を騙る悪質なメールに回答して、個人情報を盗まれないようにご注意をお願いします。
総務省は、メールで国勢調査の回答を求めることは絶対にありません。
そうした【国勢調査】を騙るメールにはくれぐれも反応しないようにお願いします。



