エントリー

【地方自治情報化推進フェア2025】初日開催のパネルディスカッション【自治体におけるAI活用とセキュリティ】を聴講!

【地方自治情報化推進フェア2025】初日開催のパネルディスカッション【自治体におけるAI活用とセキュリティ】を聴講!

地方公共団体情報システム機構(J-LIS)主催の【地方自治情報化推進フェア2025】が幕張メッセ展示ホール9・10・11で、8日、9日と開催され、J-LISの代表者会議委員である私は、8日に会場を訪問しました。
今年のテーマは【デジタルで変わる、未来が分かる~自治体DXの「次」を共に描く~】です。
後援は、総務省、デジタル庁、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)です。
とにかく広い会場には、130を超える出展者が自治体DX等に関する展示・説明をしています。

会場を回遊しているときに、J-LISの阿部知明副理事長(前総務省自治行政局長)とばったりお会いしました。
そして、午後1時半から3時半まで開催のパネルディスカッション【自治体におけるAI活用とセキュリティ】を聴講しました。
モデレータは中央大学国際情報学部教授(東京大学名誉教授)で旧知の研究者仲間の須藤修先生です。
パネリストは、デジタル庁AI担当の大杉直也さん、情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所ナショナルサイバートレーニングセンターの
浦田有佳里さん、鹿児島市長の下鶴隆央さん、一般社団法人AIガバナンス協会代表理事・京都大学大学院法学研究科特任教授で弁護士(日本・ニューヨーク州)の羽深宏樹さんです。

須藤先生は、【生成AIとセキュリティ】をテーマに開催する趣旨として、自治体職員の人手不足が叫ばれている中、各自治体では行政サービスを維持するために生成AIを活用し、文書作成やアイディア出し等で職員の業務効率化を進めている一方で、著作権や個人情報保護といった留意点もあることから、今日は、行政のAI活用を実践している多様なパネリストと、自治体職員が効果的に生成AIを活用するためには何が求められるのかについて意見交換したいと趣旨を話されました。

最初の自己紹介で、まず、大杉直也さんは、デジタル庁職員によるAI利用の概要を紹介の上、その国の実績の公開を活用しつつ、自治体間の連携を呼びかけます。
浦田有桂里さんは、ナショナルサイバートレーニングセンターでの活動やCYDER(実践的サイバー防御演習)を2017年から毎年3000人対象に活用していただいている経験から実践的な提案をされました。
愛媛県CDO補佐官など自治体のAI利用に参画されています。

下鶴隆央鹿児島市長は、急激な人口減少 基礎自治体職員採用困難、福祉需要は高止まりの中、AIに任せられることは任せて職員ならではの業務を適切に行えるように仕組みを変えなければならないと語ります。
電話を減らす仕組み作り、AIオンデマンド交通、AIマッチング、子育てAIチャットポットなどを実践されています。

羽深宏樹さんは、AIガバナンスの誤解を説明されました。
たとえば、リスクを誇大にいうのではなく、AIを受容可能にするコントロールが必要であること、日本にはAI規制が少ないと言われるがそうではなく、法律は多く特化していないだけであること、AIは人の指示通りに動くしステムとは異なるのではなく【超高性能確率統計計算機】であることなどです。【AI推進法】が2025年5月28日に成立したこともあり、AIについて分からないことを前提に前向きに実装すべきと語ります。

論点1:自治体の活用実態について、各パネリストの知見等から紹介
論点2:AIを自治体で使用する際の課題について
論点3:個人情報保護、著作権尊重、ハルシネーションなどの課題への対応と研修の意義などについて意見交換

これらの3つの論点についての意見交換の中で、印象に残ったのは、下鶴鹿児島市長が、リスクマネージメントと活用のバランスを考えながら、積極的使用を職員に促したいとともに、禁止事項を明確に提示してそれ以外は柔軟に活用することを受け入れたい、市長としてリスクを最小限にする対応をして奨励したいと言われたことです。
そして、住民の皆様の納得感を得るために、ベネフィットを見せること、政策効果を説明していかなければいけないと語りました。
また、浦田さんは、サイバーセキュリティインシデントは必ず起こるけれども、リテラシーを向上させ、セキュリティ対策を整備し、手順・準備・監視・日常の対応を精査して、サイバーセキュリティインシデント発生対応をして臨んでいくことを提起されました。
たとえば、AIで脆弱性を早く見つけることもできていることにも注目して活用できると受け止めました。

羽深さんは、リスクマネージメントを義務として、リスクの特定・評価を継続し、適切に対応して、ケースごとにリスクを考えて、低減のあり方を考える必要を提起されました。
そのうえで、大杉さんはじめ皆さんが、国と自治体、自治体間では、リスクについては可能な限り共有して対応していくことの有用性を提起されました。
そして、大杉さんは、「職員だけでなく民間にも、AIを適切に活用して行政改革を進めたい人もいるので、事業者、市民を巻き込む方向性を!」と言われました。
その通りだと思います。
住民の皆様はサービスの受け手であるからこそ、行政の適切な合理化・効率化を含むサービスの向上を図る取組みに参画していただける可能性があると思います。

まとめとして、須藤先生は、総務省が7月31日に公表した【自治体の積極AI導入に向けて】と題する報告書を紹介されました。
また、OECDによれば、韓国と日本では生成AIを導入しても失業は増えないとの推計についても紹介されました。 
パネルディスカッションを終えて、主催者として会場にいらしたJ-LISの椎橋章夫理事長、阿部知明副理事長、羽生雄一郎理事、岩﨑尚子理事と語り合いました。

また、聴講されていたJ-LIS被災者支援システム全国サポートセンター長の吉田稔さんともお久しぶりにお目にかかりました。吉田さんは、阪神淡路大震災の際に西宮市役所で被災者支援システムを構築されて、それを全国で利用できるように奮闘されている方です。
さらに、元湖南市長で、市長在任中にご一緒に全国市長会副会長をつとめた同志であるとともに、総務省地域力創造アドバイザーでもある谷畑英吾さんとも再会しました。

ユーティリティ

記事検索Entry Search

Search
キーワード

過去ログArchives

RSS Feed