【医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワーク】の首長の皆様との対話
- 2025/11/11
- 日記・コラム
- 医療的ケア児, 医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワーク, こども家庭庁, こどもまんなか
【医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワーク】の首長の皆様と【こども家庭庁】支援局の源河審議官、今泉・障害児支援課長、鈴木久也・障害児支援課補佐との対話に、参与として同席しました。
【医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワーク】には、全国の56自治体の首長の皆様が参加されています。
この日は、会長の都竹淳也・飛騨市長、理事の白岩孝夫・南陽市長、野田義和・東大阪市長、小松政・武雄市長、会員の井崎義治・流山市長、石井宏子・君津市長、藤田明美・加茂市長、藤井浩人・美濃加茂市長、林宏優・山県市長、成瀬敦・幸田町長、末松則子・鈴鹿市長、事務局の戸枝陽基・日本福祉大学客員教授が来訪されました。
ネットワークの皆様から【医療的ケア児者の支援施策に関する重点要望】が源河審議官に手交されました。
そして、都竹会長から、以下の項目について、概要の説明がありました。
1.地域におけるサービス提供体制の強化
(1)報酬・制度設計の見直し
(2)財政支援・日常生活用具給付費の充実
(3)人材確保・育成
(4)施設整備と財政支援
(5)訪問・居宅系サービスの拡充
(6)通所支援、短期入所の充実
(7)成人期支援の切れ目防止
そして、【2.教育現場における支援体制の充実】は文部科学省に要請されるとのことで、【3.災害・地域支援体制の整備】については、主として福祉避難所等について厚生労働省に要請されるとのことです。
その後、各市長から、現状では自治体間で対応に差があること、看護師はじめ人材の不足と養成・研修の必要性、生まれた時からの切れ目のない支援の必要性などが提起されました。
源河審議官、今泉課長、鈴木課長補佐、私とこども家庭庁のメンバーは、会員の皆様のご要望やご意見を傾聴しました。
源河審議官は、2021年に【医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律】が制定され、2024年5月に【超党派医療的ケア児者支援議員連盟】の設立総会が開催され、議連において
【医療的ケア児者を応援する市区町村長ネットワーク】の皆様が事例やご意見を表明されるなど、【医療的ケア児】をめぐる環境は大きく改善されてきていること、その中で、自治体の現場で先駆的に実践をされている皆様に敬意を表し、感謝されました。
さて、この法律の目的は、「医療技術の進歩に伴い医療的ケア児が増加するとともにその実態が多様化し、医療的ケア児及びその家族が個々の医療的ケア児の心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題となっていることに鑑み、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、保育及び教育の拡充に係る施策その他必要な施策並びに医療的ケア児支援センターの指定等について定めることにより、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現に寄与すること」とされています。
この法律において【医療的ケア】とは、「人工呼吸器による呼吸管理、喀(かく)痰(たん)吸引その他の医療行為」をさしています。
そして、【医療的ケア児】とは、「日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童(十八歳未満の者及び十八歳以上の者であって高等学校、中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部に在籍するもの)」をいう。
【基本理念】は、以下のように定められています。
①医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児の日常生活及び社会生活を社会全体で支えることを旨として行われなければならない。
②医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ適切に教育に係る支援が行われる等、個々の医療的ケア児の年齢、必要とする医療的ケアの種類及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行われなければならない。
③医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児が十八歳に達し、又は高等学校等を卒業した後も適切な保健医療サービス及び福祉サービスを受けながら日常生活及び社会生活を営むことができるようにすることにも配慮して行われなければならない。
④医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を講ずるに当たっては、医療的ケア児及びその保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、医療的ケア児を現に監護するものをいう。第十条第二項において同じ。)の意思を最大限に尊重しなければならない。
⑤医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を講ずるに当たっては、医療的ケア児及びその家族がその居住する地域にかかわらず等しく適切な支援を受けられるようにすることを旨としなければならない。
その上で、国の責務とともに、地方公共団体の責務として、「基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有する」と定められています。
さらに、「保育所の設置者等の責務」と「学校の設置者の責務」が定められているのです。
特に、都道府県知事は、社会福祉法人その他の法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者に【医療的ケア児支援センター】に行わせ、又は自ら行うことができるとしており、現時点までに、各都道府県に設置されているとのことです。
そして、源河審議官は、この日に提起された諸課題について、引き続き、少しでも前進するように努めていきたいと話されました。
特に「切れ目のない支援」の必要性については、省庁間の連携が必要であることから、一層の連携に努める意向を示されました。
【医療的ケア児者】をめぐる諸課題のすべてについては、決して一朝一夕での解決は難しいと認識しますが、この日の意見交換を通して、支援の最前線の自治体の首長の皆様と、こども家庭庁の担当者の間では、少なくとも【誰一人取り残さない】【こどもまんなか】の方向性で努力する決意が一致したと感じました。
清原慶子 Official Website
