【東京都立大学プレミアムカレッジ】の視察と中山泰男理事長との対話
11月の秋晴れの日、京王線南大沢駅を降りると、東京都総務局の都立大学調整担当部長の栗原大さんが出迎えてくださいました。
キャンパスの銀杏がちょうど色付いて、歓迎してくれています。
栗原さんに本部棟にご案内いただくと、都立大学を経営する【東京都公立大学法人】の中山泰男理事長が歓迎してくださいました。
そして、しばらくの懇談のお時間をいただきました。
私は、まず、三鷹市長在任中に創設し、今年開設20周年を迎えた【NPO法人三鷹ネットワーク大学】において、東京都立大学が会員になっていただき、歴代学長が理事として参画してくださっていることに感謝しました。
また、中山理事長は、セコム(株)の社長・会長をつとめられた方であり、2024年からは特別顧問に就任されています。
実は、三鷹市にはセコム株式会社 セコムTEセンター(開発センター)があるというご縁もありました。
これは、公的なご縁です。
その日、私は中山理事長には、セコム(株)の創業者である飯田亮氏と個人的、私的にご縁があったことをお話しました。
飯田氏は1962年、【日本警備保障】という日本で初めての警備会社を創設されました。その前は【岡永】という卸の酒販会社におつとめであったことから、小売酒販店を経営していた私の父とご縁がありました。
そこで、中学生であった私が【自由研究】で【日本警備保障】について研究したいと社長さんに面会を求めたところ、なんと実現したのです。
その後、数十年過ぎて、大学教員として【セコム科学技術振興財団】の助成事業の1つである【ロボットコンテスト】の審査委員をさせていただいたときに、飯田氏とお目にかかる機会があり、中学生時代のことを話しますと、「そう言えば、そんな中学生がいたことをかすかに覚えている」と言っていただきました。
中山理事長はそんなエピソードをとても穏やかに受け止めてくださいました。
そして、東京都の直前の総務局長で、私が三鷹市長在任中は総務局行政部長として、東京都の市区町村長と連携していただいた野間達也さんが、法人の副理事長・事務局長として歓迎してくださり、中山理事長のご高配で、私が理事長席に座らせていただいて、記念写真を撮りました。
さて、この日、東京都立大学を訪問したのは、ユニークな【リカレント教育】である【プレミアムカレッジ】を視察させていただくことでした。
かねて東京都総務局の佐藤局長、石橋次長を訪問した際、私が文科省中央教育審議会生涯学習分科会長を務めていることをご存じだったことから、【社会人】の視点からユニークな学習機会を提供している【東京都立大学プレミアム・カレッジ】について紹介していただいたことがきっかけです。
【東京都立大学プレミアム・カレッジ】は、東京都立大学及び東京都の生涯現役社会の構築に向けた取組の一環として開講した、50歳以上の方々のための「新たな学びと交流の場」として設置されています。
私は、文部科学省第13期中央教育審議会の生涯学習分科会の分科会長として、今期の検討課題の1つとして【リカレント教育】を位置付けています。
2024年7月にまとめた【第12期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理】の副題は、【全世代の一人ひとりが主体的に学び続ける生涯学習とそれを支える社会教育の未来への展開;リカレント教育の推進と社会教育人材の養成・活躍のあり方】です。
分科会では、【社会人のリカレント教育】について、【企業】【社会人】【高等教育機関】の3つの視点から議論しました。
特に、【社会人】の視点では、新しい分野に挑戦する越境経験や、年齢に応じたキャリアプランの設計、主体的にキャリアを形成・選択することが必要であること、学びそれ自体は目的ではなく手段であり、自らの成長を実感する精神的な豊かさから、幸福や生きがいにつなげることが必要であるとしています。
そこで、【高等教育機関】は、社会人が学びやすい教育環境、地域社会の知の基盤として、学習者同士のコミュニティの創出が必要と提起しました。
この日、理事長室から会議室に場を移して、【プレミアムカレッジ】についての中山理事長及び大橋隆哉学長から、その理念や特徴についてのご説明を、同行の文部科学省総合教育政策局生涯学習課リカレント教育・民間教育振興室の職員と一緒に伺いました。
さらに、プレミアムカレッジ長の松本淳特任教授からは、具体的なカリキュラムのテーマが【首都・東京をフィールドに学ぶ~江戸・東京そしてTOKYOへ】とする概要について伺いました。
それは、まさに、総合大学である東京都立大学の有する多様で豊かな教育研究資源を生かし、文系科目から理系科目、文理融合科目まで、多彩な科目が開講されていました。
特徴は、現場の理解を深めるためのフィールドワークを積極的に実施し、講義における理解を多角的に深めることができる、ユニークな学習プログラムです。
その後、皆様のご案内で、松本潤教授のゼミ、児玉謙太郎准教授のゼミ、小石絵美准教授のゼミを訪問し、学生の皆さんの研究発表を聴かせていただきました。
学生の皆様が設定した研究課題は多様ですが、多くが地域課題に関するものでした。
松本ゼミでは質問もさせていただけましたので、カリキュラムを評価して都内だけでなく他県からも遠路通学している学生がいること、研究の成果を自身の家業をはじめ地域の課題解決に生かしたり、ボランティア活動の充実に生かしたりしたいとの想いがあることを確認させていただきました。
また、必修科目に【情報リテラシー】【研究倫理】【論文・スライド作成】などがあり、その上で【ゼミナール】が必修であることから、学生の皆さんのパワーポイントを使用した発表が、簡潔かつ見やすいことに成果が表れていました。
その後、【プレミアムカレッジ学生専用ラウンジ】及び【ロッカールーム】を視察させていただきました。
今回の視察を通して、大変に意欲ある学生の皆様は、ゼミナールを通して、他の学生との交流から学びを深めているように思いました。
修了生がプレミアムカレッジでの経験を生かして、地域や社会に何らかの還元をする姿を容易に想像できるように思います。
なお、来年度の出願資格は2026年3月31日現在50歳以上の人で、日本国の高等学校を卒業した者もしくはそれと同等とみなせる者となっています。
募集人員は55名程度で、選考方法は、第一次選考が小論文、第二次選考が面接(1人20分程度)となっています。
実は、当日、三鷹市役所の職員だった学生がいて、嬉しい再会となりました。
清原慶子 Official Website
