【休眠預金活用事業シンポジウム2025~制度の現在地から未来をともに描く】に参加
- 2025/11/29
- 日記・コラム, 訪問記録, 審議会・委員会等
- 休眠預金, JANPIA, 日本民間公益活動連携機構, 指定活用団体, 資金分配団体, 活動支援団体, コドソシ, むすびえ, 日本NPOセンター, 伴走支援
【休眠預金等活用制度】とは、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金等すなわち【休眠預金等】を、社会課題の解決や民間活動の促進のために活用する制度です。
2016年12月に議員立法で【休眠預金等活用法】が成立して、2019年度から助成事業が開始されることになりました。
そこで、【日本民間公益活動連携機構(Japan Network for Public Interest Activities:JANPIA)】は、2018年1月に【休眠預金等活用法】が全面施行されたことを受けて、同法に基づく【指定活用団体】となることを目指して、同年7月に【一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)】により設立されました。
その後、2019年1月に内閣府から【指定活用団体】に選定され、同年4月に助成事業を開始しています。
【指定活用団体】とは、事業計画を毎年度作成し、【資金分配団体】を公募で選定するとともに、当該団体に対する監督や点検・評価等を実施します。
JANPIAの目指す方向性・長期目標は【誰ひとり取り残さない持続可能な社会作りへの触媒に。】であり、助成事業は①子ども及び若者の支援、②日常生活を営む上で困難を有する者の支援、③地域活性化等支援、の3分野です。
そして、私は、同じく同法に基づいて設置されていた内閣府【休眠預金等活用審議会】の委員を2021年8月から2025年8月までつとめていました。
その在任中に、同法に定められていた【5年見直し】に関する審議に参画しました。
そして、2023年6月に同法が改正されて、幸いにも私も意見を表明したことが反映されて、【民間公益活動】を一層促進すべく、法の目的規定の中に【民間公益活動の自立した担い手の育成】が明記されました。
同時に、2024年より、こうした担い手に対して非資金的支援を行う【活動支援団体】の制度及び【出資事業】という新たな支援制度が開始されました。
11月25日開催されたJANPIAシンポジウムでは、特に【活動支援団体】の取組みと【出資事業】についての現状を共有する内容として企画されていました。
会場は、日比谷コンファレンススクエア8階で、二宮雅也理事長と岡田太造専務理事が歓迎してくださいました。
会場の参加者の他に多数の聴衆がオンラインで参加しました。
芥田真理子企画広報部長による総合司会により、初めにJANPIAの二宮雅也理事長が開会の挨拶でシンポジウムの趣旨を説明されました。
すなわち、本シンポジウムでは、2024年度総合評価等をもとに、【休眠預金等活用制度】の現在地を共有し、そのうえで、制度開始から7年目となる今、5年後の見直しを経て新たに生まれた【活動支援団体】【出資事業】をこれからどのように育み、活かしていけるのかを参加者の皆様とともに問い直し、考えようとするものです。
続いて、大川昌晴・JANPIA事務局長による【休眠預金活用事業の現在地について】の説明の後、次のメンバー(敬称略)で各制度の現状と課題についての意見交換が行われました。
トークセッションPart1
「活動支援団体の今とこれから-担い手を支え、育む制度の可能性-」
田口 由紀絵(合同会社コドソシ代表)
中谷 純(認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえプロジェクトリーダー)
吉田 建治(認定特定非営利活動法人日本NPOセンター事務局長)
大川 昌晴(ファシリテーター /JANPIA事務局長)
トークセッションPart2
「資金循環の新たな可能性-ソーシャルビジネス形成支援から出資事業への展開-」
高原 康次(グロービス経営大学院教員(ソーシャル・ベンチャー・マネジメント等))
齊藤 紀子(千葉商科大学人間社会学部教授・学部長)
小崎 亜依子(ファシリテーター/JANPIA出資事業部長)
【活動支援団体】にとって重要な取組みは、【非資金的支援(伴走支援)】です。
これは、【民間公益活動】の底上げおよび持続可能性向上を目的して行われるものです。
各団体、事業実施に係る伴走支援や、事業管理・事業評価・連携支援等の業務を行う組織能力の向上、人材育成等の支援を指します。
【JANPIA】、【資金分配団体】および【活動支援団体】が行う【伴走支援】は、それぞれ【資金分配団体】、【実行団体】や支援対象団体の創意と工夫が引き出されるように、【対等なパートナーシップ】に基づき実施されていることが報告されました。
特に、各団体の多様性、地域性等を尊重しつつ、伴走の在り方も多様性が求められることや、団体や地域が連携した研修や交流の意義も提起されました。
【出資】は、2019年度からの【休眠預金等活用制度】による助成事業の実施の経過から、ビジネスの手法を用いて社会課題解決に取り組もうとする事業者に対し、新たな資金提供手法として【出資事業】を行う必要性が提起され、取組みが開始されています。
【出資事業】においては、特に民間資金の呼び水効果を発揮させ、資金調達環境の整備の促進を図るとともに、団体の自立促進等の資金面以外の強化を図るものです。
【出資】によって生み出される利益や形成される資金調達環境の有効活用によって、社会の諸課題の解決に向けた取組を一層強化することが目指されています。
また、休眠預金等の活用にあたっては、成果を広く国民一般にわかりやすい形で公表し説明責任を果たすことが求められていますので、事業実施においては、事前に達成すべき成果を明示した上で、その成果の達成度合いを重視した【社会的インパクト評価】を実施することで、成果の可視化に取り組むこととされています。
休眠預金活用事業における【社会的インパクト評価】は自己評価が基本となっています。
パネリストのお1人の齊藤紀子教授によれば、当日の意見交換から、社会的インパクト評価そのものの難しさ、助成に適する事業と投資に適する事業の分類、当事者の参加をいかに確保するか、など、今後研究・議論していかねばならないテーマは多いと感じられたそうです。
そこで、私は、こうしたシンポジウムの継続が必要と思います。
【休眠預金等活用制度】は、2019年度に開始されて、まだまだ十分に周知されていないかもしれません。
この制度は、多様な地域課題の解決に向けて【民間公益活動】の活躍を支援するものです。
通常の助成事業に加えて、かねて【新型コロナウイルス対応支援助成枠】【原油価格・物価高騰、子育て及び新型コロナ対応支援枠】等の活用の実績もみられています。
【休眠預金等活用制度】への幅広い皆様のご注目をお願いします。
清原慶子 Official Website
