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「総務省統計委員会担当室による【ウェルビーイング】に関する調査研究に参加

「総務省統計委員会担当室による【ウェルビーイング】に関する調査研究に参加

私は今年の10月まで、三鷹市長在任中から5期10年間【総務省統計委員会】の委員をつとめていました。
そして、この数年は【統計制度部会長】をつとめるとともに、2023年10月から2025年10月までの第9期において新たに設置された【デジタル部会長】を務めていました。
さらに『統計改革推進会議 最終とりまとめ(平成30年5月)』において、「統計委員会自らによる課題設定を支えるため、国際動向等の情報収集機能や研究機能、各方面からの要望把握機能を強化」するとされていることから、統計委員会事務局の統計委員会担当室が設置した令和5(2023)年度の【複数領域統合型世帯調査に関する調査研究】及び令和6年(2024)度の【複数領域統合型世帯調査に関する調査研究(アジアの事例を参考にした社会統計整備の検討)調査研究】に、統計委員会の元委員長で当時立正大学データサイエンス学部長(現在立正大学学長)の北村行伸教授とご一緒にアドバイザーとして参加しました。

既に、統計委員会の委員は退任していますが、これまで本研究への参画の経過があることから、幸いにも令和7(2025)年度の【複数領域統合型世帯調査に関する調査研究(調査実施上の論点の検討)】に、これまでと同様に、北村行伸教授とご一緒にアドバイザーとして参加しています。
この【複数領域統合型世帯調査】というのは、【医療、教育、労働など複数の領域について調査する世帯調査】のことですが、従来の【経済指標】に加えて、国民の【主観的ウェルビーイング指標】に関する統計調査の精緻化を課題として位置付けています。
現行の2023年度から5年間を計画期間とする『第4期教育振興基本計画』でも、『こども家庭庁』の設立の理念にも、『地方創生』の理念にも国民の【ウェルビーイングの実現】があります。

【ウェルビーイング】は、経済先進諸国において、GDPに代表される経済的な豊かさのみならず、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える考え方が重視されてきている中で重視されるようになった概念です。
たとえば、OECD(経済協力開発機構)の「Learning Compass2030(学びの羅針盤2030)」では、個人と社会のウェルビーイングは「私たちが望む未来(Future We Want)」であり、社会のウェルビーイングが共通の「目的地」とされています。

【ウェルビーイング】とは、日本語では【しあわせ】に近い概念であり、【身体的・精神的・社会的(バイオ・サイコ・ソーシャル)に将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)】を表す概念です。
特に、日本人にとっての【ウェルビーイング】とは、個人の主観的な側面だけではなく、他者との良好な関係性としての協調性の構築といった社会的環境が持続的に良い状態になることも含まれているようです。

そこで、内閣府では【Well-being(幸福度)に関する取組】として【満足度・生活の質に関する調査結果】を今年の9月に公表しています。
また、デジタル庁でも【地域幸福度(Well-Being)】について検討しています。
そこで、令和5年度は、「欧米諸国や国際機関等における複数領域統合型世帯調査の事例を中心に調査を行い、その調査方法・有用性とともに、そこに含まれる主観指標・主観的ウェルビーイング指標の測定・意義等」について調査を行いました。

令和6年度は、「アジアにおける複数領域統合型世帯調査及び主観指標・主観的ウェルビーイング指標について、その調査方法や活用方法・有用性など」について調査を行いました。
令和7年度は、「令和5・6年度の研究成果を踏まえて、試行調査(インターネット調査)を実施し、収集したデータなどの分析を行うことで、複数領域統合型世帯調査の調査実施上の課題・留意点について調査を行う」こととしています。
すなわち、総務省統計委員会担当室は、これまでの2か年間、世帯・個人の社会・経済状況を把握するための手法として、【複数領域統合型世帯調査】と【主観指標及び主観的ウェルビーイング指標】の2つに焦点を当てて、日本の社会統計整備について検討を行ってきました。
そこで、今年は、過去の調査結果をもとに、具体的な調査票の設計や調査方法が結果に与える影響について検証を行おうとしています。
その過程で、【複数領域統合型世帯調査】と【主観指標及び主観的ウェルビーイング指標】の調査実施上の課題・留意点を明らかにしようとしています。

今年の調査研究は10月下旬から開始されています。
第1回研究会には、ゲストとして横浜市立大学データサイエンス学部長の土屋隆裕教授に参加していただきました。
土屋教授は、令和7(2025)年9月に公表された 『満足度・生活の質に関する調査報告書2025~我が国のWell-beingの動向~』内閣府政策統括官(経済社会システム担当)の取りまとめにおいて有識者の1人として参画されています。
本調査研究では、生活満足度の動向について、性別や年齢階層別、地域別といった属性ごとの違い、分野別の生活満足度の動向を含めて包括的な確認に加えて、「エウダイモニア」や「主観的な社会との信頼関係」などに関連する質問を追加し、生活評価としての満足度との比較等を行っっています。
さらに、本人に加えて配偶者の就業状況についても質問を追加し、共働き世帯の満足度の分析も行っています。
加えて、日常生活を送る上での家庭や職場・学校以外の第三の居場所(サードプレイス)に関連した質問も追加し、人の時間の過ごし方をより多面的にとらえようと試みていることから、土屋教授のご助言は、幅広い国民を対象にした、総合的な【ウェルビーイング】に関する調査研究の意義に基づく、建設的な意見交換ができました。
まもなく、試行的な調査を実施する予定ですので、私も、国民・市民の視点で【ウェルビーイング】を尊重する想いで、改めて積極的にこの調査研究に参画していきたいと思います。

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