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三鷹ネットワーク大学が初めて出版した本は「人生100年時代の地域ケアシステム」

三鷹ネットワーク大学が初めて出版した本は「人生100年時代の地域ケアシステム」

2019年(令和元年)5月24日、清成忠男(法政大学・元総長)監修・市川一宏(ルーテル学院大学・学長)編集代表による『人生100年時代の地域ケアシステム~三鷹市の地域ケア実践の検証を通して~』が、NPO法人三鷹ネットワーク大学推進機構(以下ネット大)の初めての出版物として刊行されました。

これは、ネット大の初代理事長でいらした清成忠男さんが、2015年10月に創立10周年を迎えた記念事業として「三鷹の地域力の創生~2025年問題をにらんで~」をテーマとする「チャレンジ提案会」を開催したことを契機に、その内容を出版したいと構想されたことに始まります。
清成先生は出版社とも交渉されましたが、その途中で、ネット大の出版事業の第一弾にしようと決意され、出版に係る費用を寄付されたのです。

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ルーテル学院大学学長・市川一宏先生と

2025年問題とは、いわゆる戦後の団塊の世代が75歳の後期高齢者になる時期の福祉課題を示します。
人生100年時代と言われるけれど、人生100年を元気に幸せに実現するためには、多世代交流と多職種連携による「地域ケア」がキーワードとなることを、本書は、多元的な角度から示しています。

本書は、

  • 序章:三鷹市における地域ケアの現状と未来への展望
  • 第1部:安心して生涯をおくることができる地域づくり
  • 第2部:互いに助け合う地域ケアの創造
  • 第3部:人生100年時代の人づくり・地域づくり

で構成されています。

そして、市川さんから私へのインタビュー「地域ケア創設への思いを語る」と、清成さんと市川さんとの対談「地域ケアの過去、現在、将来を考える」が巻末に収められています。

市川さんから私へのインタビューは、5月1日にルーテル学院大学の学長室で行われました。
4月29日の公務を最後に市長を退任して2日後の、前市長としての初仕事でした。

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ルーテル学院大学学長・市川一宏先生からのインタビュー

私は、地域ケアを構想し、それに取り組んだ経過についてを中心に話しました。
2003年、市長に初当選してすぐに、公約の「地域ケア」に取り組んだ当初は、「三鷹市における地域ケア拠点等の整備に関する調査研究会」(座長:伊藤滋・東京大学名誉教授)を設置して、住民協議会、ほのぼのネット、医師会、杏林大学などのメンバーで拠点の整備について検討しました。
けれども、拠点としては、新設しなくても、長年にわたり市民に愛され活用されてきたコミュニティ・センターがあるではないか、という思いが私にはありました。
歴史的な住民協議会の活動や社会福祉協議会の地域福祉活動である「ほのぼのネット」のきめ細かい取り組みを尊重して、地域ケアのネットワークとしてどのように連携できるかが重要な課題と認識したのです。

そこで、井の頭住民協議会に相談したところ、「手探りでいいから始めてみよう」ということになったのです。
2004年の「地域ケアネットワーク・井の頭」の設立総会の前に、住民協議会の会長から、委員になる皆さんに「生の声で市長の考えを話してほしい」と言われて30分程お話したのですが、その後、新川中原、にしみたか、東部、連雀、三鷹駅周辺、最後の2015年の大沢と、各地域のケアネットワーク組織が発足するたびに、市長から理念や期待をお話することが恒例となりました。

地域ケアネットワークは、町会・自治会・住民協議会、医師会・歯科医師会・薬剤師会等、民生・児童委員、社会福祉協議会、地域包括支援センター、地域の民間福祉施設や福祉団体等が、緩やかにネットワークをつなぐことで、支援の必要な人々への多様な支援が開始されるきっかけを提供しています。

私が、この4月まで、市長として決して急がず、地域のテンポと特徴に合わせて取り組んでいただく過程で実感したことを要約すれば、

  1. 三鷹市の7つの住民協議会の活動の歴史、そこに結び付いた町会・自治会の活動は、地域ケアの基礎として他にはない財産であるということ
  2. 人の入れ替わりの激しい三鷹市に、新しく入って来た人と定住者の交流の拠点があるという強み
  3. 杏林大学付属病院はじめ比較的大きな病院が多数存在し、医師会・歯科医師会・薬剤師会・柔道整復師会など専門家集団が連携の力となっていること
  4. 市民も長寿を支える医療機関等への信頼感を持っていること
  5. ほのぼのネット、民生児童委員、日赤奉仕団など支え合いのきめ細かいつながりがあること
  6. ルーテル学院大学等の大学やNPOとの連携によりファシリテーター養成講座や傾聴ボランティアなどの人材育成のしくみができていること

などです。

人生100年時代が、どの世代にも、健康と生きがいとを実感する機会を増やすことによって、自己達成感や自己肯定感を充足することにつなげていくために、地域ケアネットワークは、益々その意義を高めていくように思います。

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