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甲州街道の滝坂にある石碑にて。

甲州街道の滝坂にある石碑にて。

京王線つつじヶ丘駅近くの甲州街道の滝坂下交差点から新宿方面に100m進むと左側に分かれ道があります。
その道は、八王子から東側で旧道の面影を残しているのは甲州街道を300m程迂回するこの滝坂だけと言われています。
その坂を登って、現在の甲州街道に合流する手前の左側に「馬宿川口屋」「瀧坂旧道」と書かれた御影石の碑があります。
この石碑を平成2年(1990年)に建立したのは、調布市議会議員を歴任された故・川口三八さんです。

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滝坂は、かつては荷物を背負った旅人や荷馬車を引く行商人には厳しい急坂でした。滝坂という名前も、雨が降ると雨水が滝のように流れるところから付いたといれています。
そこで、滝坂一帯の農家は、旅人や行商人が休憩したり宿泊する宿屋や薬屋、菓子屋などを兼業していました。
ここで、戦前まで馬宿を営んでいたのが川口屋さんだったのです。

明治以前に建てられた家屋の茅葺(かやぶき)は今は金属の屋根で守られていますが、歴史の名残りを残しつつ今も健在です。
現在、この建物を守っている三八さんの奥様である川口信子さんは、「黒光りした柱や梁(はり)、所々ガラスの表面が波打っている窓などに歴史の重みが感じられますが、住んでいる者としては、実は冬は涼しくて夏は暖かい建物なんですよ」とにこやかに語ります。
そして、「夫に聞いたのですが、明治天皇が多摩川にアユ漁に向かう途中に、滝坂にさしかかったところで、乗っていた馬が足を滑らせて落馬しそうになり、それを契機に度々坂をなだらかにする工事が行われたと調布市の文書に書かれているとのことですよ」と紹介してくださいました。

最近では、甲州街道の中でも、比較的車が渋滞することのある仙川2丁目交差点近くですが、そこには人馬の交流と通商の歴史に関する確かな証が残されています。

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