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「多摩にこどもシェルターを作る」と題するフォーラムに参加しました

「多摩にこどもシェルターを作る」と題するフォーラムに参加しました

三鷹市市民恊働センターで開催の、NPO法人子ども・若者センターこだま主催「多摩に子どもシェルターを作る〜地域でおとなができること〜」に参加しました。
最初に基調講演をされたのは多摩児童相談所の矢﨑新士所長です。
矢﨑さんは、「児童相談所から見えてくるこどもたちの姿」と題する基調講演で、児童養護施設、社会福祉協議会、三か所の児童相談所などでの経験をもとに、多様な事例を紹介しました。
そして困りごとに直面するこどもたちのために「私たちができること」は、分かった気にならない、さりげなさ、人は本当に困った時「助けて」と言えない、子育て支援は親支援、正しさだけで人は救えない、「いる」ということ、あきらめない、小ささを恥じない、などを具体的に提起しました。
特に、対象者こそ専門家であること、当事者本位で支援内容を決めていくことの必要性、対象者のそばに「いる」こと、見て「いる」ことが大切であり、支援の基本は「ひとりぼっちで生きている人をひとりぼっちにしないこと」であるとのお話に共感しました。

次に、こだまメンバーの中田雅久弁護士は、「弁護士から見たニッポンの子どもとこだまが目指す支援」と題して、こどもが権利の主体であること、『子どもの権利条約』でも『こども基本法』でも規定されている「意見表明権」を重視する必要性を提起しました。
そして、「居る」ことの保障については、「たまたま機能不全家族で育ったり、保護者にトラブル・インシデントが起こったりすると、基盤となる安心・安全なこども時代や失敗しながら徐々に大人になっていくようなプロセスが剥奪されやすい。そこを保障されていない人に急に自立を求めたり、課題に取り組むことを求めても問題が深刻化しやすい。そこで、まずはこどもたちにはありのままに受け入れてもらう体験が重要であることから、こだまはシェルターを通して『居る』ことを保障しようとしている」と紹介します。
そして、こどもの声を聴く「子どもアドボカシー」についても、こどもをまんなかに、フォーマル、インフォーマルなど各分野が相互補完的に支援することが必要であり、そのような場として、こだまは機能したいとのことです。

最後に、副理事長で杏林大学の加藤雅江教授は、「子どもシェルターとは何か」について説明しました。
最初に、こどもの虐待について、2021年度にはこどもの死者が49人、心中を含めると77人もいること、刑法犯は減少傾向にあるとはいえ触法少年は増加傾向にあり、非行・犯罪の背景には半数近くに虐待経験があること、非行とはこどもが成長発達するプロセスに必要な教育や支援が届いていない状況であると説明します。
加えて、2022年厚生労働省調査では、若者の4人に1人に希死念慮があり、10人に1人に自殺未遂の経験があり、小中高生の自殺は514人で1980年以降最多になったことを踏まえると、家庭や地域の中で課題や「困りごと」を抱えたこどもたちが緊急避難する場所としてのシェルターが必要であると語ります。
日本では2004年に最初の子どもシェルターが設立され、現在は全国に22箇所あるそうです。
こだまは、特に10代後半の女子を対象にした 23箇所目の開設を目指しているということです。
加藤さんによると、子どもシェルターが目指しているのは、
○安全・安心な居場所での落ち着いた生活
○信頼できる人との出会い
○「子ども」としての時間を取り戻す
○生きていくスキルを身につける・巣立ちのお手伝い
○これからの生活・未来に少しでも希望が持てる
○子どもたちの姿を大人が理解し、手を差し伸べることができる地域を作る
とのことです。
まさに、「こどもまんなか」ですね。

この会の最後に座席の前後の4名の参加者で語り合いのワークショップをしました。
いずれも、すでにこどもたちのためにアクションを起こしている方々ばかりで、「こどもまんなか」の想いを共有して、会場を後にしました。

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